
docomo EVERYDAYスマホケース包装をエコ化!中身が見えるあんしんデザインに
ドコモショップなどで販売しているスマホケースのパッケージを、中身が見えない紙製から再生プラスチックへ変更。
サステナブルな取組みと、あんしんしてお買物できる体験を提供しています。
今回は、この取組みを中心となって支えた社員に話を聞きました。

プロダクトクリエーション部
クリエーションマーケティング担当
市川 智隆

プロダクト戦略部
デザインマネジメント担当
佐野 友紀
ごみの削減とお客さまの声を実現したパッケージ
市川:ドコモでは以前から自社ブランドのスマートフォンケースを販売しています。その個装にエコプラスチックを採用し、さらなるエコの推進とお客さまの利便性改善を実現しました。
そもそもプラスチック包装だったものを、エコの観点から前面に商品写真をプリントした紙パッケージに変えたのが2021年。ところが、実物の質感や色味がわからないとの声がお客さまからあがり「思っていた色と違った」と返品になることもありました。そこで、再生プラスチックを使った中身の見える包装をつくることに舵を切ったのです。
──再生利用とはいえ、紙からプラの流れは時代に逆行しているという声もありそうですね。
市川:今回の場合、実は紙パッケージから再生プラにした方が、ごみの廃棄量が大きく減ります。具体的には紙のときは約45グラムで、新しい再生プラのものは約6グラム。年間の販売個数から試算すると、単純計算で数10トンものごみを削減できます。
当然、燃焼量も減り、二酸化炭素の排出量も減らせる。さらに、中身が見えない問題も解決できる。これなら変更すべきと総合的に判断して進めました。
中身を視認しやすく、コストも抑え、見栄えがいいものを。そんな無理難題をデザイナーの佐野に相談したのが本格的な開発のはじまりです。
デザインと機能性の両立に向けた試行錯誤
──どのように進めていったのでしょうか。
佐野:市場にでている化粧品などがどんな再生プラの使い方をしているのか、まずは足を使って深掘りしました。形状も重要です。無駄な構造を省き、サイズを共通化してコスト削減をはかる一方で、高級感が損なわれないよう気を配る必要があります。
それに、はじめのうちは紙の包装のものと一緒に店頭に並ぶ平行期間があるので、隣に置いても不自然でないデザインにしなければいけません。劣化による黄ばみのしにくさや耐久性も大事です。一方で、発売の時期は迫っており、課題は山積みでした。
市川:工場からサンプルが届いては、フィードバックを繰り返し、限られた時間のなかで少しずつ前進していきました。佐野が手作りしたサンプルを手に、ドコモショップをめぐったことも。実際に店頭に並べてみて違和感がないか、店長やショップスタッフから意見をもらい、足を運べない店舗とはテキストベースでやりとりをしました。
──どんな開発の苦労がありましたか。
市川:パッケージが自立するためのマチの形状を決めるのに苦労した覚えがあります。何パターンもの形を試しました。また、袋を共通化しているため、大きな商品の場合、袋の上部を閉じるための熱圧着がうまくいかないことも。いい塩梅のサイズを見つけるのにも手を焼きました。
佐野:それに、再生プラの割合によっては透明なビニールが白濁してしまい、中身が見えにくくなってしまいます。厚みや再生プラの使用量に気を配り、満足のいく透明度を維持するのは大変でした。
見た目も意識してエコを加速させていく
──完成したパッケージを見たときの気持ちは?
佐野:間に合ってよかった、の一言です。お店にずらりと並んだ新パッケージを見たとき、苦労した分、喜びもひとしおでした。商品を並べる環境は各店で異なりますが、実はドコモショップは白ベースのデザインで商品情報を整理しているので、陳列すると統一感が生まれます。
ドコモでデザインに携わって約8年、店頭での見え方については細心の注意をはかってきたつもりです。些細な積み重ねかもしれませんが、おかげさまで「ドコモショップは他社に比べてディスプレイに統一感がある」との声をお客さまからいただいています。
──今後の展望についてお聞かせください。
市川:今回得られたノウハウはスマホ用のストラップなど、他のパッケージにも応用可能です。今後の新モデルで実現できれば、さらなるごみの削減が期待できます。商品の見え方なども意識しながら、全体的にエコ化を加速させていきたい。
影響力のある企業が率先してサステナビリティ(持続可能性)な活動するのは、とても大事なことです。社会全体のエコの意識や購買動機の変化につながるのではないかと思います。
佐野:以前では考えられなかった価値観が、多くの人の支持を集めています。豪華な包装やコマーシャルに目を奪われることなく、本質を見出す世のなかの動きに合わせたデザインを、今後もつくっていきたいです。
市川:エコ化した場合、多くは実は調達価格が上がってしまいます。ですが今回は、再生プラを採用しながらコストも削減できました。簡単には実現できないまれな例ですが、これはたまたまではありません。企業として普段からエコの意識を高く持ち、そのなかでたどり着いた一つの答えではないでしょうか。
前列左から、山本、市川、佐野
後列左から、阿久津、野口、澤田、栗原