ドコモが挑む脱炭素戦略 オフサイトPPAとは?

docomo EVERYDAY通信設備に再エネ革命を。ドコモが挑む脱炭素戦略

ドコモでは、オフサイト型コーポレートPPAという仕組みを活用し、再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力をドコモの通信ビルに導入する取組みを推進しています。脱炭素社会の実現に向けて、なぜこの仕組みを導入するのか、どのような効果があるのか、今回は、現場の最前線でこの取組みを推進する社員に背景や狙いについて話を聞きました。

ドコモの通信設備がめざす“脱炭素”の未来へ

──今回、取組まれた施策の概要を教えてください。

佐藤:私たちの暮らしを支えるドコモの通信ビルは全国にあり、お客さまへ快適な通信環境をお届けするために24時間365日動き続けています。そこには膨大な電力が必要であり、ドコモグループでは年間約40億kWhの電力を消費しています。

ドコモは「脱炭素社会の実現」に貢献するために、太陽光などの環境に配慮した再エネ電力の導入と利用を推進しています。

その背景には2030年、2040年に向けた2つの目標があります。
1つ目は、2030年までに自社の事業活動での温室効果ガス排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする。
2つ目は、2040年までにサプライチェーンも含めた温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にする。

ドコモグループは、2021年に2030年カーボンニュートラル宣言を発表しましたが、温室効果ガス排出削減目標をサプライチェーン全体に拡大し、2040年ネットゼロをめざします。自社(Scope1・2)の温室効果ガス排出量を2030年までにカーボンニュートラル、サプライチェーン(Scope3)も含めた温室効果ガス排出量を2040年までにネットゼロにします。また、お客さま・パートナー企業とともに、社会全体の脱炭素に取組んでまいります。ドコモグループは2040年ネットゼロへ
2040年ネットゼロへのロードマップ

ドコモが掲げる2030年、2040年目標

今回の取組みは、「オフサイト型コーポレートPPA(以下、オフサイトPPA)」という仕組みを活用するもので、2つの目標の達成もさることながら単なる環境問題への対策にとどまらず、企業の持続可能な事業活動と価値向上に貢献することもめざしています。

“再エネをどう使うか”に踏み込んだドコモの選択

──オフサイトPPAとはどのようなものでしょうか?

秀高:「オフサイトPPA」とは、国内各地にある再エネ発電所で発電された電力を、既存の送配電網を通じて自社拠点に供給する仕組みです。

この取組みで特に大切にしたことは「追加性」という考え方です。これは、新たに建設される発電所から太陽光発電の電力を調達することで、社会全体の再エネ供給量を増やすといったものです。すでにある再エネを「使う」だけではなく、新たに「増やす」ことで、より環境価値の高い取組みとなります。

また、オフサイトPPAは長期契約かつ固定価格を前提としているため、電力価格の変動リスクを抑えながら安定的な再エネ調達が可能という点でも、企業の持続可能性を高める選択肢として注目されています。また、発電リスクの分散と供給の安定性を確保するため、複数拠点に分散した新たな太陽光発電所を整備しています。
私たちはこの仕組みを通じて、再エネを「使うこと」だけでなく、「どう使うか」という視点に踏み込み、より本質的な再エネ導入の実現ができたと感じています。

拠点拡大と数値が語る、取組みのインパクト

──実際にどれくらいの環境貢献となるのでしょうか?

佐藤:ドコモでは、2022年に岡山ビルではじめてオフサイトPPAを導入して以降、段階的に再エネ導入を進めてきました。現在までに、北陸エリアの全4ビル、東北エリアの全9ビルで導入が完了しています。

2025年度には、全国展開の次のステップとして、関東エリア7ビル、関西エリア全5ビル、中国エリア全7ビルに新たに導入を予定していて、全国59ビルのうち合計32ビルでオフサイトPPAの導入が完了予定となります。特に今回は、ドコモ代々木ビル、品川ビル、大阪南港ビルといった通信設備の重要拠点が含まれており、再エネ化のインパクトも非常に大きくなります。

<東北エリア>全9ビル:導入済(24年度)内3ビル:バイオマス発電を導入 <北陸エリア>全4ビル:導入済(24年度) <関東エリア>7ビル:導入予定(25年度以降)NTTドコモ代々木ビル・NTTドコモ品川ビル <関西エリア>全5ビル:導入予定(25年度以降)NTTドコモ大阪南港ビル <中国エリア>全7ビル:導入予定(25年度以降)
オフサイトPPA導入エリア・ビル

今回導入する太陽光発電由来の電力は年間で約59GWh、温室効果ガスの排出削減効果は年間約26,000トンにのぼり、これは一般家庭約15,000世帯が1年間に使う電力量1、CO2排出量2に相当します。太陽光発電は夜間や悪天候時には発電できませんが、そうした時間帯は非再エネ由来の電力で補い、非化石証書3を活用することで、各ビルで実質100%の再エネ運用を実現しています。

今回の導入とこれまでに完了したオフサイトPPAを合計すると、年間約81GWhの太陽光発電を活用することになり、一般家庭約20,500世帯分の年間電力使用量に相当する規模です。
数字で見ると、環境への貢献度の大きさを実感できる、非常に意義深い取組みだと考えています。

  1. 家庭1世帯あたりの電気の使用によるCO2排出量は1.74トンで換算(引用元:環境省「世帯あたり年間エネルギー種別CO2排出量・構成比(令和4年度)」
  2. 非化石証書とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書にして売買する制度

お客さまにも広がる再エネの恩恵

──オフサイトPPAはドコモのお客さまとどのような関わりがありますか?

秀高:「オフサイトPPAは企業だけの取組み」と思われるかもしれませんが、実はドコモのお客さまにも深く関わっています。

普段お使いのスマートフォンでの通信。その電波を送っているドコモの通信ビルに、今回の太陽光発電による電力が導入されます。つまり、みなさまが日常的にスマートフォンを使うたびに、裏側では再エネで動く通信設備がしっかりと支えているのです。

また、ドコモは「5G契約の割合よりも高い再エネの割合をめざす4」という取組みも進めています。これは、通信技術の進歩と同じか、それ以上のスピードで環境配慮に努めていこうという強い決意の表れです。

この仕組みの素晴らしいところは、お客さま一人ひとりが生活を変える必要がないということです。いつものようにスマートフォンを使っているだけで、自然と環境保護に参加していることになります。そんな「気づかないうちに環境に貢献できる仕組み」を、私たちはこれからも着実に広げていきたいと考えています。

  1. ドコモの総電力消費量および実質再生可能エネルギー量の対象範囲は、ドコモおよび国内の通信事業を主に提供する機能分担子会社11社が対象
経営企画部
サステナビリティ推進室 環境推進担当
佐藤 愛桔(写真右)、秀高 早紀(写真左)
経営企画部 サステナビリティ推進室 環境推進担当者の写真
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