
docomo EVERYDAYドコモ・ファイナンスの電話応対研修が、全国の金融現場と女性の活躍を支える
ドコモ・ファイナンスでは、地域の金融機関と連携し、女性人材の活躍を後押しする電話応対研修を無償で提供しています。今回は、当社が培ったノウハウを活かし、現場の人材育成と金融業界の変革に貢献する施策について社員に話を聞きました。

株式会社ドコモ・ファイナンス
保証営業部
髙橋 絵里子

株式会社ドコモ・ファイナンス
保証営業部
川合 佳奈
(写真右)
※所属は取材時のものです。
女性支援の新たな一手
──施策の概要をお聞かせください。
川合:銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関ではいま、業務の専門化・高度化が進む一方で、現場を担う人材の確保が年々難しくなっています。この差し迫ったの課題に対し、個人向けカードローンを保証する立場にある当社ドコモ・ファイナンス(旧オリックス・クレジット)として何かできることはないか。話し合いのすえ、生まれたのが本施策です。
具体的には、女性が内勤しながらも営業職の職域に進出することでリソース不足を解消するというものです。幸い、当社には長年、カードローン事業で培ったコールセンターのノウハウがあります。これを活かし、同業務の経験がある当社の社員が中心となって、フリーローンのアウトバウンドコール(電話セールス)を学ぶ研修を金融機関向けに無償で実施。女性社員の活躍の場をサポートしていくという内容です。
フリーローンに特化しているのは使い道が自由な分、お客さま一人ひとりの目的や想いが表れやすく、会話のなかでニーズを自然に引出す練習に適しているからです。セールスのいろはを学び、そこからさらにその人の職域を拡大していけるのではという狙いもあります。
“営業は男性”という固定観念を覆したい
──施策をつくっていくにあたり、障壁はありましたか。
髙橋:内勤に留まっていた人材を活用し、ひいては業界全体のレベルの底上げをしていく。こうした提案に対し、いくつかの金融機関からは戸惑いの声が上がりました。業界においては「営業は男性」「窓口業務は女性」という役割分担が、強く固定化されていたからです。
実は、私たち保証営業部はすべて女性で構成されています。性別による固定観念をなくし、誰もが希望する仕事に挑戦するための一助になれないかとの思いも少なからずありました。そこで、各金融機関の本部を訪れては、ほかの金融機関で結果に結びついた事例をアピールするなどして、上層部に対して粘り強く説得し続けました。
そのおかげもあり、いまでは多くの金融機関などからたくさんのご支持をいただいています。施策開始より10年が経過しました。コールをはじめてからは、ローンの申込みが1.5〜2倍に増えたという定量的な成果も出ています。
前列左から:馬場 美帆、國分 愛(めぐみ)、尾形 美羽(みれは)、谷野 凪紗(なぎさ)、片町 梓紗(あずさ)
後列左から:内田 希望(のぞみ)、住岡 優、紙田 楓菜(ふうな)、川合(かわあい) 佳奈、荒井 涼子
「売る」ではなく「聞く」からはじまる研修
──経験のない電話セールスを身につけるのは大変そうですよね。
髙橋:ローンとは端的にいえば借金です。私や川合など、5年以上アウトバウンドコールに携わってきた者ならお客さまの将来設計の助けになる大切な業務だと認識できますが、経験のない人がおよび腰になってしまうのもわかります。
ですから研修の参加者には、まずはローンを売ろうとせず、お客さまの課題やお悩みを引出す心持ちが大事だと徹底して伝えています。たとえそのときのやりとりで申込みが取れずとも、貯蓄への興味など、お客さまの別のニーズが引出せるかもしれません。大事なのはコミュニケーションのなかで培っていく信頼関係です。
──施策の強みは何でしょうか。
髙橋:保証会社が研修を請け負うケースはほかにもありますが、私たちのようなコールの経験者が一から懇切丁寧に指南するやり方は、実はなかなかありません。以前、お得意先が別口に相談した際「うちではドコモ・ファイナンスほどの研修はできないですよ」といわれた経験があるとおっしゃっていました。
小さな変化が業界を動かす
──今後の展望をお聞かせください。
川合:これまでは首都圏のみで取組んでいましたが、いまは地域の営業部と連携し、全国の提携金融機関においてコールの研修を実施しています。研修内容をブラッシュアップしていくのも忘れず、さらに多くの地域をカバーできればと思います。
加えて、金融機関がいまだ抱えている課題の数々を解決するため、本施策にとどまらずドコモならではの知見をできる範囲で提供し、ローンの枠組みにとらわれない新たな提案もしていければと考えています。
髙橋:お取引先と話をしていても、女性が職域を拡大してもっと男性領域に進出してもいいはずとの意見は少なからずあります。しかし、いきなり外回りに出るのはハードルが高いし、組織の制度変更をすぐに行うのも難しい。本施策は女性が新たな学びを得ると同時に、職場の意識改革を促す小さな一歩にもつながっていると自負しています。
川合:実際、窓口の女性担当者が男性の営業職員を超える成績を残しています。徐々に、しかし確実に、私たちの取組みが浸透していると感じています。
髙橋:いちローン商品のコールじゃないか、そう侮る人もいるかもしれません。ですが、契約が一つでも結びつけばわずかな自信が得られ、その満足感が前に進む力になる。はじめはたとたどしく、書かれた文章を棒読みするのが精いっぱいでも、そのうち紙を見ずともスラスラとお客さまと会話できるようになっていく。そうした女性職員の姿を私たちは何度も見てきました。
一つひとつは小さな営みでもそれが全国で積み上がり、いずれは「男性は営業、女性は窓口業務」の組織文化を大きく動かすかもしれません。女性が活躍しやすくなる社会の実現に、少しでも貢献できればうれしい限りです。