
docomo EVERYDAY伝統技術を未来へつなぐご縁プロジェクト
古くから受け継がれてきた伝統的な技術や技法を使った日本の伝統工芸品。
最近は高齢化や後継者不足が進むなか、コロナを起因としてその日本の伝統工芸に携わる店や会社が廃業することは少なくありません。
「伝統工芸品を未来につなぐために、私たちにできることを―」の想いで、ドコモ九州支社の社員が集結し、長崎県波佐見町でつくられる陶磁器「波佐見焼」を未来に残すためのプロジェクトを立ち上げました。
課題を知る
2022年秋、私たちプロジェクトメンバーは波佐見焼振興会を訪問しました。事務局長の山下さんは、波佐見焼※の歴史や工程、課題、波佐見町の魅力について詳しく説明してくださいました。
波佐見焼は400年以上続く「分業制」で、9つの工程をさまざまな人がリレー方式で担当します。原料の仕入れから土作り、型作り、生地作り、素焼き、絵付け、釉薬、焼成、そして出荷までの工程があります。町民の約3割が波佐見焼に関わりみんなで作り上げるからこそ、関係者同士の絆も深いということです。
現在の課題は大きく2つ。「業務効率化」と「働き手の認知不足」です。
1つめの課題「業務効率化」では、アナログな手作業をDX化し、効率化した時間をアイディアや企画を検討する時間にシフトすることが求められています。たとえば、分業している方同士の伝票のやりとりが紙対応であったり、検品作業がすべて人の手で行われている現状があります。これらをデジタル化することで、効率化を図りたいというものでした。
2つめの課題「働き手の認知不足」では、焼き物に関わる多様な仕事を広く伝え、移住者を増やすことが目標です。焼き物の工程には生地屋、型屋、卸問屋などがあり、店頭での販売員や営業、デザイナー、事務職、経理、広報など多様な職種があります。しかし、焼き物といえばろくろ回しのイメージが強く、これらの仕事がうまく伝わっていない現状があります。
訪問を通じて、波佐見焼や波佐見町の魅力を再発見。JR有田駅から乗り合いタクシーで波佐見町中心部に気軽にアクセスでき、おしゃれな店や美味しい食事、温泉、銘酒などがあります。
まず私たちは2つめの課題「働き手の認知不足解消」に向けて貢献するため、波佐見焼の課題や魅力、働く職種、移住制度などを広く知ってもらうための活動を開始しました。
- 波佐見焼とは:長崎県の中央北部に位置する波佐見町付近でつくられる陶磁器のこと。
社内アンケートを実施
「波佐見町に移住して波佐見焼に関連する仕事についてもらう」これが直接の課題解決ではありますが、波佐見焼(波佐見町)に興味を持ってもらう仕組みづくりのヒントを得るため、まずはドコモの社員に「波佐見焼の認知度アンケート」を実施しました。
「Q 波佐見焼を知っていますか」
九州に在籍する社員では86.4%、全国の社員では39.7%が「知っている」という結果になりました。
ただし、見たこと・聞いたことがある程度の認知レベルも多く、全国に至ってははじめて聞いたという声も多かったのが実情です。
回答のなかには、「好きで集めている」「知り合いが波佐見焼に携わっている」と声もあれば、私たちの活動や今回のアンケートを通じて知るきっかけになったといううれしい声もあがりました。また、SNSやTV、雑誌の記事や漫画の題材、近隣のカフェで使用される器や期間限定ショップがきっかけで知ったという認知経路も分かりました。
深く知ってもらうためのイベント開催へ
次に、アンケート結果を踏まえ、波佐見焼振興会、波佐見観光協会、波佐見町役場とタッグを組んでドコモ社内向けに波佐見焼、波佐見町を深く知ってもらうための1時間のWeb配信イベントを実施しました。
<実施内容>
- 波佐見焼振興会の山下さんに福岡へお越しいただき、波佐見町の歴史についての説明会とQ&Aセッション
- 波佐見町役場と連携し、波佐見町へ接続し2か所から中継(LIVE配信)
- 大新窯さんへ訪問:現場の職人さんにスマートグラスを着用いただき、実際の作業をスマートグラス越しにLIVE配信
- 波佐見町のお土産で大人気の陶箱クッキーの製造工程を鬼木加工センターからLIVE配信
この陶箱クッキーは「地域内循環」をテーマに開発、町の技術を集結させて完成したものとのことです。
クッキーの陶箱は波佐見焼、米粉クッキーは波佐見でとれた波佐見米(はさみまい)を使用、クッキーを焼いているのは農家のみなさん!
波佐見焼を作るときに使用する「石膏型」を砕いて土壌を改良した田んぼで米粉専用「ミズホチカラ」を育て、クッキーを作っているそうです。
手に取って波佐見焼のよさを知ってもらうために、Web配信同日に波佐見焼の人気商品である陶箱クッキーとくわらんかセットを販売し、完売するなど大盛況のうちに終わりました。
このイベントを通してアンケート結果や生の声から「波佐見焼に行ってみたい」「もっと詳しく知りたい」という反響があり、どんな条件やサポートがあれば移住したいかなどの声ももらうことができました。
社外への認知活動に向けて
ご紹介したような社内向けの取組みで得た情報や知見をもとに、同じく後継者不足に悩みながらも伝統工芸を未来につないだ「吉開のかまぼこ」さまを訪問しました。
吉開のかまぼこの林田社長は、大学時代に後継者未定問題に取組んだプロジェクトチームリーダー。
後継者がいない廃業寸前の「吉開のかまぼこ」の後継者を探すお手伝いをしながら、何と最終的に自身が事業継承により20代で4代目社長になられたそうです!
林田さんは自ら製造にも関わりながらもメディア・SNSなどを活用し、一般の方へも広く会社や自身のことを発信されています。
なぜプロジェクトに取組んだのか、学生時代から現在に至るまでの活動を伺い、私たちは深く感銘を受けました。そして、なんと波佐見焼の現状をお伝えし、私たちの活動にご協力いただけることになったのです。
吉開のかまぼこホームページはこちら
協力いただける仲間とのつながり
そしてもう1社、一緒に活動いただける仲間が見つかりました。
今回の活動を通して波佐見焼振興会の山下さんに紹介いただいた波佐見町最大商社の「西海陶器」さまです。
西海陶器さまはメンバーが前からファンだったWebサイト「Hasami Life」(波佐見焼販売や波佐見町関連のおススメスポット紹介、窯元や製造に関する特集など)の制作元でもありました!
西海陶器ホームページはこちら
ここから、一緒に波佐見を盛り上げるため、西海陶器さま、吉開のかまぼこさまと3社で取組みがスタート。
今回のご縁でつながった、西海陶器さまと吉開のかまぼこさま。波佐見焼の器にかまぼこを乗せる様子が自然と目に浮かびます。
ドコモの社内イベントでは、波佐見焼と吉開のかまぼこをセットにした販売会を行いました。
販売中には、波佐見焼の製造工程や、吉開のかまぼこさまの事業承継にまつわるエピソードなどを動画配信しました。
私たちもかまぼこを購入し、食べてみると・・・・
なにこれ~!今まで食べたことのないかまぼこ。ふわふわ、プリっとした食感で、とっても美味しいではありませんか。しかも無添加のかまぼこなので安心です。
今回のイベントで、社員から「販売会のなかでかまぼこと器で贈り物用にセットで販売してほしい」というリクエストが多数寄せられました。
そして、ついに、それが実現することになったのです!
日本の伝統工芸品の波佐見焼と日本の伝統商品のかまぼこのよさをぜひ手にとっていただきたいと思い、数量限定でセット商品を販売することが決まりました!
セット販売に関して詳しくはこちら
「大切な日本の伝統工芸を未来に残すため、この課題や取組みを知ってもらいたい」そんな思いからははじまった九州のプロジェクト。少しずつ、だけど着実に、私たちのつなぐストーリーが形になってきています。今後も伝統工芸の未来のため、私たちにできることを考えながら取組んでいきます。
波佐見町、波佐見焼をもっと知りたい、働いてみたい方はこちら:波佐見焼振興会Webサイト