「カスハラ基本方針」の取組みの画像

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─ドコモの「カスタマーハラスメント基本方針」

ドコモでは、2024年7月に「NTTドコモグループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」を公表しました。
今回はこの取組みの中心社員に話を聞きました。

総務人事部
人権啓発室 人権啓発担当
吉村 彰博

「カスハラ基本方針」とは

吉村:顧客や取引先さまから理不尽な要求や暴言などの迷惑行為を受ける「カスタマーハラスメント」(以下、カスハラ)という言葉がいま、社会的に意識されています。
このカスハラから従業員を守るため、ドコモでは基本方針*1を策定し、社外に公表しました。

「何人も、あらゆる場において、カスハラを行ってはならない」──。カスハラ防止をめざす条例が2024年10月に東京都議会で成立し、2025年4月から施行します。カスハラに対する対応方針を打ち出す大手企業も増えてきました。なかには、迷惑客の「出入り禁止」にまで踏み込む会社も出てきています。

ドコモグループにおいても、ドコモショップやコールセンター、ネットワークの品質調査などにおいて、カスハラ行為が発生していました。そこで、同行為から従業員を守る目的で、カスハラポリシーの策定・公表に至りました。

「NTTドコモグループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」について、詳しくはこちらでご確認ください。

  1. お客さまからの暴力・脅迫・暴言・不当な要求などに対して、従業員を守るため毅然とした対応を行い、商品・サービスの提供やお客さま対応をお断りさせていただくこと、法的措置なども含め厳正に対応することが明確に定められました。

各部のノウハウをカタチに

──どのような背景から形になったのでしょうか。

吉村:弊社では23年度より年に1度、社長と副社長、それに各部門の代表者がそれぞれの現場の意見を聞く「タウンホールミーティング」という場を設けています。2024年7月、「カスハラの方針を会社として打ち出さないのか」との問いが参加者からありました。

総務人事部には、その声に応える義務があると思いました。私が人事異動でいまの部署に移ったのが同年7月頭です。実は、カスハラ対策の提言が出た2週間前に「カスハラを意識しなくてはいけない」ということはすでに当担当内で意識しており、事前に準備を進めていました。

そのような声を現場からいただく前に、私たちが対策について発信すべきでした。同ミーティング後、後手に回った対応を挽回するため至急ガイドライン(指針)を策定し、NTTグループに先んじてドコモグループ*2が2024年7月12日(金曜)に世のなかに公表しました*3

  1. 株式会社NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ株式会社、NTTコムウェア株式会社のドコモグループ3社。
  2. 日本電信電話株式会社は、2024年7月26日(金曜)に「NTTグループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」を公表。

──構想から公表までわずか数日というのは、異例のスピードです。

吉村:直接お客さまと接点のない総務人事部は、営業的なノウハウはほとんどありません。基本方針を私たちだけでつくるのは到底無理な話です。そこでフロント部門をはじめ、広報業務を担うブランドコミュニケーション部や経営企画部、秘書室などからノウハウをいただきながら進めました。

関わったメンバーはかなりの数で、修正に次ぐ修正。限られた時間のなかでキャッチボールが続き、再び基礎から考え直しになる場合もありました。

課題の一つは「何をもってカスハラとすべきか」。業務改善に資する正当なご意見やご申告との差をどう見極めていくかです。会社として怖いのが、何もかもカスハラで片付けてしまうことです。数字で判断できる事柄ではないため、境界線を簡単に飛び越えてしまう危険性については、かなり議論したつもりです。

抑止力としての「カスハラの基本方針」

──今回、サステナビリティ表彰*4において公正賞を受賞しました。

吉村:正直、むずがゆさもあります。私たちが表彰をいただくつもりは全くありませんでしたから。エントリー欄の公正賞の例に「カスハラの基本方針」という文字が見えて、はじめて意識したほどです。

本来であれば、この賞はお客さま対応部門の方々にお渡しすべきもの。ドコモは日頃、お客さまに向き合う従業員の方々がいてこそ成り立つ事業です。ですから、ありがたさが半分、申し訳なさが半分という気持ちです。

一方、カスハラが離職の原因の一つで、方針の打ち出しがそれを食い止める一助として機能するなら、うれしい限りです。第一線で活躍するみなさまには、ぜひ長く勤めていただきたいという思いがありますから。

  1. ドコモ社内で実施した、持続可能な社会の実現に向けて行った優れた取組みを評価し、その功績を表彰するもの。
    詳しくはこちら

あんしん・安全にドコモで働く

──今後の展望は?

吉村:NTTおよびドコモグループとして当社が初の策定・公表であり、その後、NTTやドコモグループ会社への水平展開を図りました。
また、NTTグループ全社員向けのカスハラ研修もスタートしました。
昭和などの時代と比較すると、消費者の意識も変わってきました。自分という存在はなかなか俯瞰できません。多くの企業や自治体がカスハラ対策に声をあげているいま、行き過ぎた迷惑行為を自覚し、考えを改める人も増えていくでしょう。

それに、行為を行うそばにもリスクがあり、ハラスメントが逮捕や懲戒処分につながるおそれがあると、気づく人がもっと出てくるとうれしいです。場合によっては自分の人生を大きく変えてしまう行為であると想像できていなかった人も、これまでかなりいたのではないでしょうか。

あんしんして働ける環境づくりのために、また、相手も自分と同じ人間なのだという当たり前に気づき、公平に接するための抑止力として、今後もカスハラ対策の促進を続けていきたいと思います。

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