
docomo EVERYDAY持続可能なスポーツの未来を創る
-浦安D-Rocksの挑戦-
ドコモがトップパートナーを務める「浦安D-Rocks」(ジャパンラグビー リーグワン所属)は、企業スポーツのあり方を見直し、サステナビリティ推進へと役割を拡大しています。
温室効果ガス削減や資源循環、教育を通じ、地域や社会に新たな価値を創造する取組みが注目されています。
今回は、中心となり推進している社員2名にお話を伺いました。

NTT Sports X
チームマネジメント部
内山 浩文

NTT Sports X
チームマネジメント部
石神 勝
企業スポーツの新たな役割とは?
──活動内容をお聞かせください。
内山:私たちは「Victory(ビクトリー)=勝ち=」と「Value(バリュー)=価値=」の2つのVをミッションに掲げ、企業スポーツのあり方を一から見直し、価値を高めることを目的として活動しています。
これまで従業員の士気高揚や企業ブランドの認知度向上、広告効果などを目的としてきたスポーツチームの役割は、時代とともに変わりつつあります。人事や広報だけに目を向けるのではなく、社会に対して何ができるかを考える時期に来ているのです。
2024年には、ベストサステナビリティ表彰*1の優秀賞を受賞し、その価値の高め方として推進しているサステナビリティの領域が評価されました。
──背景には何があるのでしょうか。
内山:地球温暖化は、私たちの生活にさまざまな悪影響を及ぼしています。スポーツ界も例外ではありません。夏場の練習は熱中症のリスクを高め、冬季スポーツでは雪不足を招き、機会の減少につながっています。私たちのチームでも、ゲリラ雷雨で試合が中止になることがありました。
孫の代にやってくると思われていた急激な気候変動はすでに現実のものとなり、温暖化どころか「沸騰化」時代に突入していることに、危機感を覚えました。
- ドコモ社内で実施した、持続可能な社会の実現に向けて行った優れた取組みを評価し、その功績を表彰するもの。
詳しくはこちら。
環境問題をもっと気軽に身近にする活動
──実際に行った活動についてお聞かせください。
内山:まず行ったのは、サステナビリティ宣言です。
気候変動や循環経済、生物多様性の3つに対して目標値を設定し、いろいろなアクションを起こしていくと2023年12月に表明しました。これはプロスポーツチームとしては初の試みです。宣言のなかには、ワールドカップ開催国などとサステナビリティの施策を連携する、2027年ごろまでにチームとして二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにするなどがあります。
宣言後、私たちのスポーツ事業やサプライチェーン(供給網)から出る温室効果ガスの可視化をわずか半年で実現しました*2。これは驚異的な早さで、チーム一丸となって勝利をめざし、「一人はみんなのために」(One For All)を重んじるラグビー業界の利他的な精神*3とNTTグループのテクノロジーが合わさったからこそできました。もちろん脱炭素に向けて、測定結果に伴った削減計画も進めています。
- 温室効果ガスの可視化

- カーボンオフセットとは、温室効果ガス(CO2など)の排出量を、ほかの場所での排出削減や吸収量で埋め合わせる取組み。
- 浦安D-Rocks選手の能力マップ
「行動する力」「仲間に影響を及ぼす力」「思考する力」「一人で発揮する力」の4つの能力が満遍なく広がるなか、「行動する力」や「仲間に影響を及ぼす力」が特に多いことがわかる。


石神:ほかにも、世界的な海洋汚染問題の一つとなっている廃漁網をアップサイクルしたオフィシャルチームスーツの制作や、人工芝におけるマイクロプラスチック問題の解決に向けた啓発セミナーの開催など多岐にわたります。
また今後は、日本航空(JAL)と連携して、持続可能な燃料(SAF)の原料である廃食用油の回収場所として、公式戦を開催するスタジアムやチームの拠点であるクラブハウスを提供したり、スタジアムに気候変動に関する情報パネルを用意したりするなども考えています。数々の取組みのなか、観客やファンの意識も変わってきました*4。
- 選手自身が仲間を集めてやりたいことをカタチにする”この指とまれ”プロジェクトでは、わずか1か月弱で6つ以上の施策を実現。地域課題や企業課題、社会課題のなかで、やりたいことの企画立案・運営・情報発信までを網羅的に行う。
このような活動を通して、観客やファンの意識が変わってきている。


──こうした活動で、企業スポーツの価値も変わっていくと。
内山:心掛けているのは、カジュアルなアプローチです。SDGsや脱炭素と聞くと、難しい話だと腰が引けてしまう。ですがスポーツを通して発信することで、実は身近なところにある問題・課題だと気づきやすくなる。スポーツがハブになれば、地域のファンやサポーター、さらに子どもの教育の場にサステナビリティを正しくインプットしやすくなります。

地域社会の環境保護にも貢献
とはいえ当初、私たちがこうした構想を熱弁しても「何言ってるんだ、この人は」という反応で、スポーツにそこまでの力はないと、あきれられることも少なくありませんでした。ですが、今では多くの方が耳を傾けてくださり、サステナビリティ表彰の優秀賞もいただきました。
石神:弊社との共創に関心を持つ組織や企業も、大幅に増えました。また、当時の環境大臣政務官である朝日健太郎参院議員からは「今後も環境省との連携を深めながら、スポーツ界をリードしてもらいたい」とのコメントをいただいています。
内山:ドコモの前田社長もよく言われていますが「やると決めたら、やり切る」。人類がはじめて月をめざしたような壮大な話に聞こえるかもしれませんが、一つひとつの積み重ねがこの「ムーンショット計画」を実現させると確信しています。
企業スポーツを社会の新基盤へ
──今後の展望をお聞かせください。
内山:企業スポーツの社会的位置付けをさらに高く、また、柔軟性に富んだものにしていきたいと考えています。
たとえば、現役を終えた人材を地元に送り、教育委員会と連携して学校の授業を担当するなども方法の一つです。チームで戦力外になったとしても「地元のスーパースター」の影響力は高い。引退したら、そのまま地域との接続がなくなるのはもったいない話です。
現役時代に高めた競技力に加え、蓄えたサステナビリティの知識、スポーツを通したマーケティング力など、たくさんの武器が彼らにはあります。
もし教育を受け持つなら、教科は「体育」ではなく「道徳」がいいですね。利他的な精神を持つ人材が持続可能性の大事さを地域に根付かせ、次世代に受け継いでいく。その結果、社会全体の意識が大きく変わっていくはずです。
生まれ変わったスポーツの役割で世界を動かす。
これは決して夢物語ではありません。
