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未来も、快適につながるために。先を見据えたドコモの「ミリ波」普及への挑戦

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スマートフォンでの動画視聴やSNSへの投稿など、日々の通信をより快適にするため、ドコモはさまざまな取組みを行っています。今回ご紹介するのは、データ通信量がますます増大する未来を見据えた、「ミリ波」への挑戦です。2019年より導入を開始したミリ波は、大容量データを高速で送れる一方、直進性が強く障害物に弱いという扱いの難しさから、まだ利用できる場所は限られています。それでも、未来の通信体験をより快適にするために技術を磨き続ける、ドコモのミリ波普及への挑戦と舞台裏をお伝えします。

これから先の未来も、快適な通信を届けるために

これから10年、15年先の未来。AIサービスの普及や、仮想空間メタバースでの交流が日常になれば、私たちがやりとりするデータ量は、現在の数百倍にもなると予測されています。そんな未来でも、お客さまがストレスなくサービスを楽しめるように、ドコモは長年「ミリ波」の普及に取組んでいます。「ミリ波」とは、一般的な周波数帯よりも非常に広い道幅を持つ、たとえるならば複数車線のある幹線道路や高速道路のような周波数帯です。一度に大量のデータを運べるため、高画質の映像も瞬時にダウンロードできるなど、圧倒的な“速さ”をお届けすることができます。ドコモはこの可能性にいち早く着目し、2019年より提供を開始、同時に将来の通信需要に備える重要な一手としてエリア展開や技術開発を進めてきました。

ミリ波の広い帯域幅を、車線の多い道路にたとえたイメージ図

しかし、このミリ波は“直進性が強く、建物などの障害物に弱い”という性質があります。加えて、現在この電波を利用できるのは、一部のスマートフォンに限られています。実際2025年6月に行った、東京都内の人が多く集まる場所で稼働している基地局での実測調査では、ミリ波の利用割合は全体のわずか0.4%という結果に。ドコモは、当初より想定されていた、通信エリアを広げることや、ミリ波に対応したスマートフォンを普及させることは、決して簡単ではないと改めて認識。ミリ波のエリアを広げる技術開発だけでなく、ミリ波ならではの価値を体感できる場の創出や、対応スマートフォン普及のための機会を設けるなど、多角的なアプローチへと取組みを広げていくことにしました。

ミリ波でお客さまに感動を届ける。IGアリーナで未来の通信を体験

多角的なアプローチのひとつとして、現在ドコモが進めているのが、お客さまの心が動く瞬間“エンターテインメントの現場”でのミリ波活用です。その舞台となるのが、2025年7月に開業し、日本最大級※1のハイブリッドエンターテインメントアリーナとなる愛知県名古屋市の「IGアリーナ」。

[左]2025年7月に開業した愛知県名古屋市の「IGアリーナ」[右]IGアリーナ内のミリ波アンテナ

この施設はドコモのグループ会社である、株式会社愛知国際アリーナが運営に携わっています。ここでは、世界初となる開業時点からの「IOWN(アイオン)※2導入」、「Wi-Fi7」の整備とともにミリ波基地局を最大限に設置し、ドコモが培ってきた技術を集結させて、高品質な通信環境を整えました。

しかし、どれだけ環境を整えても、それを利用できるミリ波対応スマートフォンがお客さまの手になければ意味がありません。そこでドコモは、パートナー企業と連携し、実際にスマートフォンに触れてミリ波の価値を実感していただくことで、普及を後押しする取組みも行っています。

その一環として、2026年2月にIGアリーナで「Samsung Galaxy presents TGC in あいち・なごや 2026」が開催されます。このイベントでは、高品質な通信環境を活かし、ご来場のお客さまに少し先の未来の通信を体感していただく予定です。会場内に出展されるサムスン電子ジャパンのブースでは、実際にミリ波の通信を体験できる特別なコンテンツをご用意。ミリ波対応の高性能スマートフォン「Galaxy」の展示を行い、イベント限定の特別映像などをダウンロードしていただく企画などを計画しています。大勢の観客で賑わうアリーナでも、驚くほどスムーズに動画がダウンロードできたり、高画質の写真や感動の瞬間を、その場ですぐに共有できる。そんなサクサクと通信できる快適さを肌で感じてください。

スタンド内部から見た「MUFGスタジアム(国立競技場)」

また、IGアリーナだけでなく、東京・新宿にある「MUFGスタジアム(国立競技場)」においても、すでにミリ波が導入されています。MUFGスタジアムは、ドコモが代表企業のひとつとして設立した新会社が運営を担うスタジアム。スポーツや音楽の聖地として知られる、この歴史あるスタジアムの熱狂を最新の技術で未来へつなぐために、これからミリ波を活用したエンターテインメント体験を提供していく予定です。

窓ガラスでビームの方向を制御。ミリ波の課題を解決する次世代技術

こうしたアリーナのような“点”での感動体験を、日常的な場所、街なかという“面”へと広げていくためには、「ミリ波」の“直進性が強く、障害物に弱い”という弱点を克服することが課題です。ドコモでは現在、これを解決するために、さまざまな次世代技術の研究開発を進めています。

窓ガラスを通過する電波を制御する「透過型メタサーフェス技術」の図解

そのうちのひとつが、建物の窓ガラスを活用する「透過型メタサーフェス技術」です。直進性の強いミリ波を効率よく届けるには、電波の通り道を精密にコントロールする必要があります。そこで開発されたのが、電波を制御する役割をもった特殊な透明フィルムです。2022年に行った実証実験では、これを建物の内側から窓ガラスに貼ることで、フィルムを通る電波を意図した方向へ曲げることが可能となり、通常では死角になりやすい建物の足元部分にもエリアを広げることに成功しました。

またこの技術が実用化されれば、エリア拡大に欠かせないアンテナ設置場所の確保においても大きな力となります。通常アンテナの設置には建物の屋上や電柱などの構造物へ設置されることが一般的ですが、近年、特に都心部では景観への配慮などにより無電柱化が進められています。多くのお客さまが集まる場所であるほど、快適な通信環境を整えるためのアンテナ設置場所を確保することは簡単ではありません。加えて、ミリ波は直進性が強いという性質上、設置場所が制限されてしまいます。しかし窓ガラスに特殊な透明フィルムを貼るという技術が生まれたことで、これまで設置が難しかった場所へ、目立たない技術でのエリア化が可能となります。少しずつ、それでも着実に、ミリ波がつながるエリアを広げていくために。技術開発者の挑戦は続いていきます。

これから先の未来も、心が動く瞬間をつなぐために

ドコモはこれまで、ミリ波の普及に向けて、IGアリーナをはじめとするエンターテインメント施設での活用や、ミリ波の弱点を克服する技術開発など、多角的なアプローチでその可能性を広げてきました。しかし、技術を確立することは、決してゴールではありません。ドコモがめざしているのは、その先にある、お客さまの心が動く瞬間を支えることです。大勢の人が集まる場所での熱狂や感動を通信の混雑を気にせず誰もがその瞬間をわかち合える。そんな未来を、あたりまえにすることです。
通信を、単なる情報の伝達手段から、未来の感動体験を動かす“社会のエンジン”へ。ドコモはこれからも、パートナー企業のみなさまと手を取り合いながら、通信技術のさらなる進化を追求していきます。ドコモの挑戦に終わりはありません。

  1. 収容人数において国内アリーナ最大級の17,000人(2025年7月時点)
  2. 2019年に発表され、2030年頃の実用化に向けてさまざまな企業がパートナーとして連携しながら研究・開発を進めてきた、従来の通信インフラを遙かに超える次世代コミュニケーション基盤構想のこと。
  • 株式会社NTTドコモ
    電波企画室 電波 担当課長

    木原 茉莉子

  • 株式会社NTTドコモ
    無線アクセスデザイン部 無線企画 担当課長

    中本 淳也

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