公衆電話ボックスや電柱で、迅速な基地局設置を実現
ドコモの通信品質対策
より快適な通信サービスを提供するために、通信設備の改善を続けることはドコモの最重要課題です。しかし、基地局などの設備設置には「場所」と「時間」の制約があり、つながりにくさを感じる場所があっても、すぐに改善できないことがあるのが実情です。
そこでドコモは、通常の対策と並行して、電柱や公衆電話ボックスといった「街にすでにあるもの」を活用し、短期間で基地局を設置する取組みを進めています。少しでも早く快適な通信サービスを提供するために、あらゆる手段で通信品質を向上させる。今回は、その具体的な手法をご紹介します。
基地局設置に立ちはだかる「場所」と「時間」の壁
多くの人が集まる駅前や繁華街などでは、通信の混雑が起きやすくなります。
これを解消する方法のひとつは、ビルの屋上や鉄塔などに新しい基地局を設置し、通信できる容量を増やすことです。
しかし、基地局の設置には「場所」と「時間」という2つのハードルがあります。
まず基地局は電波を送受信しやすい見通しのよい場所に設置するのが理想ですが、そうした場所は限られています。すでにスペースが埋まっていたり、建物の構造上の理由で設置できなかったりと、理想的な場所を新たに確保するのは容易ではありません。
また、設置場所が見つかったとしても、ビルのオーナーや住民の方々の承諾を得るには調整期間が必要です。たとえば、マンションの管理組合の総会での決定から耐震性の検証、工事の調整などのすべての工程を含めると交渉開始から対策完了まで1年以上かかってしまうケースもあります。
もちろん、安全で確実な設置のためには必要なプロセスですが、いま通信に困っているお客さまにとって、解決までにお待たせする時間が長くなってしまうのも事実です。
この状況を打開するため、ドコモはあらゆる工夫をしながら対策を進めています。
「着実に」と「素早く」を並行して進める
ドコモが現在進めているのは、時間をかけてしっかり設置を進める「通常対策」と、設置の速さを優先する「スピード重視対策」を同時に行うアプローチです。
<通常対策>
ビルの屋上などに基地局を新設・増設。広いエリアをカバーできますが、設置に時間がかかる場合もあります。
<スピード重視対策>
すでにある設備を活用し、小回りの利く小さな基地局を設置します。範囲は限定的ですが、工期を短縮できます。
通常の対策で計画から設置まで1年かかる場所でも、スピード重視対策なら最短半年程度で電波を届けられる場合があります。
「すべての対策が整うまでお待ちいただく」のではなく、「あらゆる手段を使って、少しでも早く快適な通信環境を提供する」。そんな想いで、通常対策とスピード重視対策を並行して進めています。
場所がないなら、「あるもの」を使えばいい
基地局の設置には、場所の確保や景観への配慮など、さまざまな課題があります。そこでドコモでは、通常対策・スピード重視対策のそれぞれにおいて、街のなかにすでにある設備を工夫して活用し、課題を解決しています。
<商業施設などの窓ガラス>
通常対策において場所の確保と同じくらい難しいのが、「景観」との両立です。たとえば京都などでは景観に関する独自の条例があり、目立つアンテナの設置が難しい場合があります。そこで、既存窓(室内側)の表面にガラスを貼り付ける「ガラスアンテナ」を導入しています。透明な素材で窓ガラスに設置できるため、街の景観を損なわず、屋外のエリアをカバーすることができます。
<電柱と公衆電話ボックス>
一方、スピード重視対策で活用が進んでいるのが、すでにある電柱や公衆電話ボックスです。
これらには、すでに「電気」と「通信回線」が通っています。そのため、大規模な基礎工事が不要で、比較的早く基地局として稼働させることができます。
また、企業や行政が管理している設備であるため、設置できるかどうかの判断が比較的スムーズに進むのもメリットです。
組織の枠を超えた専任チーム「別班」
このスピード重視対策を推進しているのが、2024年に発足した社内横断チーム、通称「別班」です。その実態は、基地局設計や施工管理の経験と知識が豊富な社員を、さまざまな部署から選抜してできたチームです。
通常、基地局の建設計画は、その土地に合わせてオーダーメイドで進めているため、設置までに時間がかかってしまいます。それに対し別班は、緊急性の高い場所での対策に特化し、あらかじめ決まった型を採用することで、その時間を大幅に短縮。たとえば、電柱や公衆電話ボックスなどを活用する際、一から設計を行うのではなく、準備しておいた型(パターン)を当てはめて迅速に工事を進めます。
「オーダーメイド」と「スピード重視の対策」。状況に応じてこれらを柔軟に判断・実行することで、早期改善につなげています。
さらなる通信品質向上をめざす
公衆電話ボックスや電柱などを活用した迅速な対策は、すでに全国各地で成果を上げはじめています。しかし、私たちの取組みはここで終わりではありません。
今後は、この「別班」が培ったノウハウや機動力を、すべての対策のスタンダードにしていきたいと考えています。特別な対応としてではなく、日々の業務フローそのものを進化させ、あたりまえに実施できるようにする。それが私たちのめざす次のステージです。
長期的な通信品質を支える地道な対策と、機動力を重視した素早い対策。ドコモは、通常対策とスピード重視対策を両輪で回し続けることで、通信が混雑する場所でも、「つながるあんしん」をみなさまにお届けし続けていきます。
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株式会社NTTドコモ
エリアマネジメント部 エリアマネジメント企画 主査髙橋 和也
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株式会社NTTドコモ
ネットワーク業務改革推進部 構造改革推進 主査荒木 雅弘
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株式会社NTTドコモ
無線アクセスデザイン部 無線技術 主査松田 良平
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株式会社ドコモCS
ネットワーク建設推進部 屋外置局設計小林 健太郎
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株式会社ドコモCS
ネットワーク建設推進部 屋外置局設計照井 崇之