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24時間365日体制で、通信のあんしんを支え続ける司令塔
ドコモネットワークオペレーションセンターの使命

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日々あたりまえのように“つながる”スマートフォン。その裏側で、通信の安定を支える仕組みをご存じですか?ドコモのネットワークオペレーションセンター(以下、NOC)は、全国の通信ネットワークを24時間365日体制で監視し、トラブルの予兆を察知・対応する、いわば通信の司令塔です。この記事では、ドコモのモバイル通信サービスを支えるNOCの仕組みや自動化技術などについてご紹介します。

24時間365日、「つながる」を見守る最前線

ドコモの通信ネットワークを見守るNOCは、東京(品川)と大阪(南港)の2拠点体制で24時間365日の監視を行っています。東西の拠点に所属する技術者が6つのグループによるシフト制で交代勤務。万が一、片方の拠点が被災などで機能しなくなっても、もう一方が運用を即座に引継げる体制を構築しています。
NOCの監視対象は、大きく3つの領域にわかれています。一つ目は、全国各地に設置され、スマートフォンの電波を送受信する無線基地局。たとえば、建物の屋上や道路沿いなどに設置されていて、私たちのスマートフォンと直接やりとりをしている設備です。二つ目は、基地局を通じて集まった通信データを受け取り、相手につなぐコアネットワーク設備。通話先の相手やインターネットに接続する中継設備の役割を果たしており、通信の流れをさばく中枢です。三つ目は、基地局やコアネットワーク設備などを結び、全国をつないでいる伝送設備。光ファイバーなど、場所と場所をつなぐ通信の道ともいえるものです。
NOCではこれらすべての領域で、通信機器が発する警報(アラーム)の検知を行うとともに、音声通話やデータ通信の通信量や混雑状況も確認。異常を発見すると、オペレーターが原因を特定し、遠隔操作で装置の再起動や通信の迂回などを実施します。遠隔では対応できない故障については、全国に配置された保守員が現地に急行し、迅速な復旧にあたります。

モニターに映る全国の通信状況。異常の兆候をいち早く察知するための仕組みが整えられている。

また、SNSなどに投稿された「つながらない」といった声を分析して、システム上に現れない“サイレント故障”も検知することで、より迅速な対応に役立てています。さらには、より迅速かつ効率的にシステム異常を復旧するため、基地局の遠隔監視ではすでに約7~8割の業務が自動化されており、人が介在せずに異常検知から遠隔復旧、たとえ遠隔復旧できなかった場合でも現地保守員への出動依頼まで完結する仕組みが整っています。

その一報が命をつなぐ。災害時の“通信”を守る力

日常の通信異常の検知や原因特定・遠隔復旧対応だけでなく、災害時にもNOCは重要な役割を担います。災害時やイベント時には、通信トラフィックが急増し、通常の通信が難しくなることがあります。こうした状況に対応するのがNOCの「ネットワークコントロール」と呼ばれる役割です。たとえば、2024年元日に発生した石川県地震では、県外からの電話や通信を一時的に制限し、被災地域内の緊急通報(110番・119番)や安否確認を優先的につなげる制御が実施されました。その結果、必要な通信が確保され、多くの救助要請や家族間の連絡が円滑に行える環境を実現しました。

ネットワークの状態を共有しながら状況を確認。複数人での連携がトラブル対応の精度を高める。

国境を越えて“つながる”を届ける、グローバルNOCの現場

海外にいる日本人のお客さまや、日本を訪れる外国人のお客さまにも安定した通信環境を提供するため、ドコモでは国際部門のNOCがローミングネットワークを監視しています。ドコモの国際ローミングサービス「WORLD WING」は、海外にいてもお客さまのスマートフォンを電話番号やメールアドレスはそのままに使える仕組みで、現在200以上の国と地域で利用されています。旅行や出張で海外に行った際、現地の通信事業者のネットワークを借りて、通話やインターネットを日本にいるときと同じように使えるのが特徴です。
この仕組みを支えるのが、NOCの国際部門。海外の通信事業者とのネットワーク接続状態を見守り、異常があれば迅速に対応しています。
さらに、こうしたローミングネットワークの運用には、自動で異常や障害を検知し、テスト接続や復旧、海外通信事業者との連携までも行う「ゼロタッチオペレーション」と呼ばれる自動化技術も導入しています。たとえ深夜に発生するトラブルであっても、人が介在せずに対応を進められるため、より迅速で安定したサービス提供を可能にしています。
この自動化により、オペレーターはより複雑な問題の分析や、近年増えているインバウンド対応に注力できるようになりました。

国際イベントの通信需要に備え、NOCでは事前準備から当日の強化監視までを一貫して対応。

また、国内外で行われる大規模イベント(オリンピックやG7サミット、国際万博など)では、通信の混雑が予想される国際回線に対し、イベント開催前から監視体制を計画。事前に来場者数を予測し、会場となるエリア周辺のネットワークを強化、海外での開催の場合は現地支部と連携して通信状況を事前に確認し、安定運用を図ります。SNSへの写真・動画投稿が集中する開会式などでは、ゼロタッチオペレーションに加えて、専門員がリアルタイムで監視し、必要に応じて連携している海外通信事業者の通信の負荷を別の事業者に分散するなどの対応を行います。各国での技術仕様の違いや言語の壁によりコミュニケーションが難しい場面も多くありますが、海外にいる日本人のお客さまと日本を訪れる外国人のお客さまが不安なくネットワークを利用できることを優先して対応にあたっています。

“止めない通信”をつくるため、AIとデータで描く未来

多数の契約者と多様なサービスを支えるドコモのネットワーク運用を、さらに効率的かつ高度にするため、以下のようにAIとビッグデータの活用を推進しています。

  • ビッグデータ基盤:ネットワークを構成する多様な装置やシステムの通信量やアラーム、構成情報などを一元管理。ビッグデータはNOCの監視業務の自動化、複雑で難しいケースの対応の支援として、ネットワークの構成や状況の可視化に活用
  • 異常検知AI:これまで人手では分析しきれなかったトラフィック量などの装置データの異常を、AIが自動で検出
  • 予兆検知と予防保全:AIの分析により、将来的に故障につながる可能性があるログを検知することで、故障が発生する前に、基地局の増設や交換タイミングを判断
  • 生成AIを活用した措置レコメンド:過去の故障履歴やマニュアルをもとに、最適な対処方法を自動提案
  • AIエージェント構想:将来的には熟練した技術者の「職人技」を学んだAIが自律的に役割を担うことで、人がより複雑で難しいケースの対応に専念できる体制をめざす

ドコモの進化する通信と変わらぬ使命

今後、通信インフラは5Gから次世代の6Gへと進化を続け、通信のさらなる社会インフラ化に伴ってネットワークがさらに大規模になっていきます。限られた人手でネットワークを支え続けるには、AIや自動化のさらなる活用が不可欠です。
一方で、海外からのワン切り詐欺などの悪質な通信も増加しています。NOCではこれに対してもAIによるリアルタイム検知と遮断を行い、あんしんして使えるネットワークを提供していきます。
NOCがめざすのは、「壊れる前に気づく」「壊れてもすぐ直る」ネットワークの実現。ドコモはこれからも、人と機械が協働する柔軟で効率的な運用体制を通じて、“つながる”ことがあたりまえの未来を支え続けます。

  • 株式会社NTTドコモ
    サービスオペレーション部
    国際サービス部門 国際サービス技術担当

    永黒 友貴

  • 株式会社NTTドコモ
    サービスオペレーション部
    国際サービス部門 国際サービス運営担当

    須藤 清達

  • 株式会社ドコモCS
    ネットワークオペレーションセンター
    グローバルネットワーク技術部門 グローバルサービス担当

    山﨑 康史

  • 株式会社NTTドコモ
    サービスオペレーション部
    サービス統制部門 サービス統制担当

    末永 雄士

  • 株式会社ドコモCS
    ネットワーク本部 ネットワーク運営事業部
    ネットワークオペレーションセンター
    オペレーション管理部門 NCノード運営担当

    木澤 淳基

  • 株式会社NTTドコモ
    サービスマネジメント部 オペレーションシステム部門
    OPSストラテジー担当

    竹下 恵

  • 株式会社NTTドコモ
    サービスマネジメント部 オペレーションシステム部門
    OPSソリューション担当

    南本 真一

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