日々の取組み

満員の車内でも、快適な通信を実現する
首都圏の「鉄道動線磨き上げプロジェクト」

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首都圏の鉄道には毎日数百万人が乗り込み、その多くの方がスマートフォンを手にしています。なかでも利用者の多い主要路線では、ラッシュ時におけるネットワークは閑散時間に比べて数十倍にも増大します。ドコモは、ラッシュ時にも快適にスマートフォンをご利用いただけるようにさまざまな対策に取組んでいます。本記事では、首都圏の鉄道主要路線での通信改善の取組みについて、技術的なアプローチとプロジェクトの裏側をご紹介します。

混雑する車内でも、途切れない通信を

日中の閑散時間帯であれば、電車内でもスマートフォンは快適に利用できます。課題は、多くの乗客が集中する通勤・通学ラッシュ時です。快適な通信環境を実現するには、通信速度だけでなく、多くの利用者が同時に接続しても耐えられるネットワーク容量や、通信の安定性が求められます。ドコモは、こうした要素を総合的に高め、乗車中でも途切れることなく快適に通信できる環境づくりに取組んでいます。近年、ショート動画を次々と視聴するスタイルが広がったことで、映像が切り替わるたびにデータを読み込む必要があり、より安定した通信環境が求められるようになっています。
また、安定した通信環境の実現には、動画や画像を受信する「下り通信」だけではなく、アプリの起動やリンクのタップ、動画の再生ボタンを押すといった、スマートフォンからネットワークへリクエストする「上り通信」も重要です。上りと下りの双方向のやり取りがスムーズでなければ、下りの速度がどれほど速くてもアプリは快適に動きません。ドコモはこうした上り通信の安定にも注力しています。

全国のエキスパートの知恵を結集する「鉄道動線磨き上げプロジェクト」

こうした対策を電車内で実現するには、常に移動を続ける車両に電波を届けなければならないという高いハードルがあります。特に利用者が多い路線では、満員の車両が高速で移動し、車内の膨大な数のスマートフォンが一斉に通信を行います。車内での通信は移動に合わせて接続する基地局を次々と切り替えていきますが、この際に通信が途切れないよう調整するには高度な技術が必要です。
この難度の高い課題を解決するため、ドコモが発足させたのが、「鉄道動線磨き上げプロジェクト」です。北海道から九州まで全国の支社でエリア品質の改善実績を持つ精鋭の技術者が結集し、アンテナの角度調整やパラメータ設定など設備の性能を最大限に引き出すための議論を重ねています。通勤ラッシュ時のネットワーク負荷は、時間帯や区間によって刻々と変動するため、同プロジェクトでは、首都圏の通信データをリアルタイムに近い粒度で共有しながら、こうした変動パターンを分析。現場の対策に反映させることで、首都圏主要路線の通信品質の底上げを図っています。

既存インフラの活用と鉄道会社との連携で、基地局設置を加速

鉄道動線磨き上げプロジェクトによるソフト面での最適化と並行して、ドコモはハード面でも基地局の増設を急いでいます。従来、基地局の設置は建物の屋上にアンテナを置くのが一般的でしたが、都市部では設置場所の確保が難しく、調査と交渉だけで1年以上かかることも珍しくありませんでした。

〈電柱を活用した5G基地局の設置〉
そこでドコモは、電柱に5G基地局を設置する取組みを開始しました。
電柱を保有する事業者と連携することで交渉期間を大幅に短縮でき、一例では計画から通信開始まで約6か月で進められるケースも生まれています。

〈鉄道会社との「合同調査」〉
駅構内や線路脇への基地局設置にも力を入れています。ドコモの通信技術者と鉄道会社の設備担当者が一緒に駅や沿線を歩き、設置候補地を選定する「合同調査」の仕組みを、より積極的に活用するようになりました。駅のホームや変電設備、周辺の建物をその場で確認し、設置可否の可能性を即座に判断できることで、設置までの期間が大幅に短縮されています。一部の駅では、計画開始から半年程度でのサービス開始を見込むケースも出てきています。現在、首都圏の各鉄道会社と同様の取組みが広がっています。

「つながる」の先へ。2026年度上期に向けたネットワークの進化

現在、ドコモは首都圏の約40路線を対象に、通信データやSNSでの利用者の声を分析しながら改善を進めています。今後、主要路線を中心に5G基地局のサービスエリアがさらに拡大される予定です。
鉄道動線磨き上げプロジェクトで蓄積してきた運用ノウハウと、電柱活用や合同調査で加速する設備展開。ソフトとハードの両面から対策を重ねることで、ドコモは首都圏の鉄道における通信品質を着実に引き上げています。満員電車のなかでも、動画が途切れず、アプリがすぐに応答する。そんな「あたりまえ」を支える取組みは、これからも続きます。

  • 株式会社NTTドコモ 首都圏支社
    ネットワーク部 移動無線計画担当

    井上 七海

  • 株式会社ドコモCS
    首都圏本部 エリア品質部 エリア品質技術担当

    髙村 章治

  • 株式会社ドコモCS
    首都圏本部 ネットワーク建設推進部 屋内置局設計担当

    西山 大貴

  • 株式会社ドコモCS
    首都圏本部 ネットワーク建設推進部 屋外置局設計担当

    梶原 佑紀

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