世界レベルの熱戦「マイナビ ツール・ド・九州2025」を舞台裏で支える、ドコモの通信対策
2025年10月10日(金)〜13日(月)にかけて、九州の雄大な自然を舞台にした国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2025」が開催されました。国内外から集まったプロ選手たちの熱い走りと、沿道から送られる大きな声援。それらに加えて、この大会の成功に欠かせないのが、快適な通信環境でした。
ドコモは、「熱い走りを 美しい九州を 世界へ」という大会の理念に賛同し、前回大会に続いて協賛。大会事務局と連携しながら、観客や大会関係者が快適にSNS投稿や動画配信などを行えるよう、主要会場を中心に通信環境の強化・最適化に取組みました。
この記事では、広大な九州各地を縦断して行われるこのレースを支える通信対策の舞台裏をご紹介します。
年々盛り上がり続ける広域レースを支えるために
今年のコースは、長崎県佐世保市を皮切りに、福岡・熊本・宮崎・大分を縦断。九州の雄大な自然と多彩な地形を舞台に、世界をめざす選手たちが熱い走りを繰り広げました。沿道では、地元住民や観光客が声援を送り、スタート・フィニッシュ地点には多くの観客が集まりました。来場者がレースの写真を撮ってSNSに投稿したり、動画をストリーミングしたりすると、そのエリアの通信量が急増し、回線が混み合って通信速度が低下してしまう可能性があります。「レースの感動をSNSで共有したい!」「リアルタイムで詳しい情報を知りたい!」そんな観戦者の声に応えるため、ドコモは同大会会場の設備容量を1.2倍に増強することを「通信改善宣言2025」※に掲げ、大会開催エリアで通信対策に挑みました。
特に、大会の幕開けとなる佐世保のスタート地点や、クライマックスを迎える宮崎・大分のフィニッシュ地点は、多くの人出が予想されたため、観客や関係者が快適に通信を利用できるよう、万全の対策で大会をサポートしました。

現場の状況に合わせて通信対策を組み合わせる
通信対策といっても、その方法は一つではありません。まず、各エリアの地形や人の集まり方を事前に分析し、予想される通信需要に応じて最適な対策を組み合わせました。具体的には、既存の基地局についてはイベント仕様に調整し、同時に多くの人がスマホを使っても安定して通信できるよう、トラフィック制御のシステムを変更してデータ処理を分散させました。これは、多くの人が一斉に通信を行う状況でもスムーズにつながるようにする、いわば通信の「交通整理」です。さらに、基地局アンテナの角度も現地の地形や観客動線に合わせて再調整し、電波の到達範囲を最適な方向に広げました。こうしたチューニングによって、既存設備だけでも効率的なカバーを実現しています。
そして、人が密集するエリアや既存の電波が届きにくい場所には、移動基地局車を配置しました。車両に通信設備を搭載した「移動できる基地局」で、必要な場所にピンポイントで電波を届け、通信容量を一時的に強化できるのが特長です。

対策の裏側にある数々の挑戦
今回の大会では、特に人が集まると予想される3つのエリアで移動基地局車による重点的な対策を行いました。
スタート地点の佐世保クリテリウムは駅からも近く、多くの観客が見込まれたため通信容量を拡充。熊本ステージでは、スタート地点に大会本部が置かれ、屋内に電波が届きにくいエリアがあったため、ピンポイントでカバーしました。観客の期待が最高潮に達する宮崎・大分ステージのフィニッシュ地点でも、移動基地局車を設置して万全の体制を整えていました。
これらの対策は、約半年前から大会事務局との緊密な連携を図りながら進められました。広域にわたる大会コースの中から、特に通信容量の増強が必要な箇所を洗い出し、移動基地局車の設置場所の調整、現地での電波測定、電柱からケーブルを引く伝送路の確保など、地道な準備を積み重ねて本番を迎えました。
対策の裏側には、さまざまな苦労もありました。その一つが、毎年変わるコース設定への対応です。前年の対策をそのまま実行することができず、地形や観客動線の変化に応じて、毎回細かな見直しが必要になります。また、複数のステージで構成される大会のため、関係各所との調整が多くなることも大変な点です。

自然環境を尊重しながら、快適な通信のその先へ
今年の大会では、スタート地点の佐世保クリテリウムやフィニッシュ地点の宮崎・大分ステージなど、人が集中する会場でも通信の混雑を感じることなく、SNSへの投稿や動画配信などを問題なく行える通信環境を提供することができました。臨時対策を講じることで、大会期間中を通して安定した通信を実現できた点は大きな成果といえます。
一方で、豊かな自然に囲まれた熊本県内のエリアでは、通信環境のさらなる安定化が今後の課題です。今後の持続的な大会開催を見据え、このエリアでは新しい基地局を設置する計画を進めています。候補地が阿蘇くじゅう国立公園内にあるため、自然環境に配慮した設備配置が求められ、国立公園法に基づき申請から許可まで長い時間を要しますが、イベントを一過性のものとしないためにも、長期的な視点でしっかりと地域の通信環境の改善に取組んでいきます。
いつでも、どこでも、あんしんして使える通信環境を提供し、お客さまに最高の観戦体験を届けること。それが、私たちの使命です。レースの臨場感をリアルタイムで共有し、九州の美しい風景とともに感動が広がっていく。その瞬間を支える力を、これからも磨き続けながら。ドコモは、通信を通じて地域社会に貢献していきます。
- 「2025年度 ドコモの通信改善 取組み宣言」については、こちらをご確認ください。
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株式会社NTTドコモ九州支社
ネットワーク部 移動無線計画川上 慧
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株式会社ドコモCS九州
エリア品質技術久保 竜幸