鈴鹿サーキットの通信環境を抜本的に改善 通信の力で現地観戦をさらに熱く、快適に

鈴鹿サーキットでは、2025年4月のレースに向けて、通信設備の強化を進めています。動画配信サービスを利用した観戦スタイルの普及などによるデータ通信量の増加だけでなく、今後のコンテンツの進化やさらなる来場者数の増加まで見据えた対策を実施。最新技術の導入も進め、対策前と比べて約3.7倍の通信容量に増強しました。
観戦スタイルの進化とともに上昇する通信量
鈴鹿サーキットは自動車やオートバイの国際レースが開催される日本最長のレーシングコース。そのテクニカルなコースレイアウトは、ファンだけでなくドライバーからも高く評価されています。
2022年10月にコロナ禍による中止期間を経て2年ぶりに開催された大規模レースでは、3日間で約20万人の観客が詰めかけ、通信容量が不足しました。

会場で通信量が大きく増えたことが通信速度低下の要因ですが、この背景にはモータースポーツ観戦を取り巻く環境の変化があります。スマートフォンアプリを活用する観戦スタイルの普及です。動画配信サービスを利用すれば、現地にいながらリアルタイムの実況や解説つきで、離れたセクションの状況も観ることが可能になりました。また、ラップタイムなどのタイム差を把握できるアプリを使うことで、応援するチームやドライバーの応援観戦にいっそう入り込むこともできます。
他にも、スマートフォンの使用頻度が高い若年層の来場者が増えたことや、以前は禁止されていた動画撮影やSNSへのシェアが解禁されたことも通信量増加の一因として考えられます。
スピード感を持って通信基地局を増設
通信の課題を認識した直後から振り返りを行い、実行に移しました。これまでは敷地外の通信基地局により鈴鹿サーキット内の大半をカバーしていましたが、通信容量を増加するためには一つひとつのエリアを細かくする極小セル化が必要でした。そのためにはサーキット内への基地局新設が非常に重要であり、鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドさまのご理解とご協力のもと、工期を大幅に短縮させながら基地局を新設。各スタンドの極小セル化が実現しました。

既存の基地局については、5Gの追加を中心に周波数帯を増設するとともに駅やバスで来場されるお客さまの動線の通信環境も見直しました。これまでは多数の移動基地局車で対策を補強していましたが、通信基地局の充実により臨時基地局の設置を限りなく少なくでき、年間を通して安定した通信環境を効率よく提供できるようになりました。
新技術の積極的な導入で、設備容量を約3.7倍に増強
5Gの追加とセルの分割だけでも、現状では計測上十分な通信環境となりますが、2025年4月のレースに向けて、搭載可能なすべての基地局に最新技術のマルチユーザMassive MIMOとSA方式※1を導入しました。マルチユーザMassive MIMOは、従来よりもはるかに多くのアンテナを内蔵した通信技術です。カバーできるエリアが広がるだけでなく、一度に送受信できるデータ量も飛躍的に増加します。さらに、電波の発射方向を細かく制御することでユーザーごとに電波を割り当て、混雑時でも安定した通信環境を実現します。

SA(Standalone)は5G通信方式のひとつで、一般的なNSA(Non-standalone)方式が4G用の装置を経由するのに対し、5G専用装置のみで構成されているのが特長です。これにより、SA接続が可能なお客さまは5G接続にかかる時間が短縮されるほか、4G回線との棲み分けが進むため、4Gの通信環境にも余裕が生まれます。極小セル化との組み合わせにより、サーキット全体の容量効果としては対策前と比べて約3.7倍を見込んでいます。

- SA方式について、詳しくはこちらでご確認ください。
快適で迫力のあるモータースポーツ観戦を支えるために
2025年の対策をもって、現行の技術で可能な対策はほぼ出そろいます。最新技術まで積極的に導入を進めたのは、レース中の動画視聴やSNS発信、キャッシュレス決済など現地観戦されるお客さまに余裕を持って最大限快適な通信環境をご提供したいという強い想いからであり、通信改善取組み宣言※2にも掲げて取組んできました。
鈴鹿サーキットの観戦者数はコロナ禍以降、回復傾向にあるものの、全盛期と比べればまだまだ増える余地があります。また、観戦体験の進化とともに通信への要求が高まっているのは鈴鹿サーキットに限りません。あらゆるスポーツ観戦の現場で快適な通信環境を提供し続けられるよう最善を尽くしてまいります。
- 「通信改善取組み宣言」についてはこちらをご確認ください。
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株式会社NTTドコモ 東海支社
ネットワーク部
エリア推進山本 貴之
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株式会社ドコモCS関西 ネットワーク建設事業部
ネットワーク建設推進部 ネットワーク企画
ネットワーク管理担当村井 駿斗
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株式会社ドコモCS関西 ネットワーク建設事業部
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