日々の取組み

能登半島における仮設住宅エリアの基地局建設 地域とともに復旧から復興へ

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令和6年能登半島地震の発生から1年が経過し仮設住宅へ被災者の入居が進む一方、従来、宅地ではなかった場所では電波が届きにくいケースがありました。そこで、自治体との連携やStarlinkの活用で電波の改善までの期間を大幅に短縮。2025年1月時点で対策が必要な27か所のうち24か所は対応を完了、残りも3月に対応完了の見込みです。今後も各地の状況にあわせて通信の面から復興を支えていきます。

進む復興と新たな課題

2024年12月、能登半島地震(2024年1月1日発生)の被災者向け仮設住宅の建設が、石川県内で完了しました。同年9月の豪雨災害(令和6年9月奥能登豪雨)※1もあり、2025年1月時点でふさがった道路の啓開や崩れた建造物の解体、追加の仮設住宅建設など復旧活動は続いています。被災者の生活再建に向けた取組みが進む中、仮設住宅エリアにおける通信環境の構築という課題が浮かび上がってきました。
仮設住宅の建設場所には小学校のグラウンド跡地など、宅地ではなかった場所もあります。このような場所では大量のデータ通信が発生することを想定していないため、多くの人が通信を利用するとつながりにくくなってしまう場合があり、通信環境の構築を検討していきました。

  1. 令和6年奥能登豪雨におけるドコモの活動についてはこちらをご確認ください。

「考えうる最速」に関係者全員で挑み、基地局の建設時間を大幅短縮

仮設住宅は年単位で貸与されますが、その役目を終えると市町営住宅に転用されたり跡地を再開発したりするケースがあります。当初は移動基地局車やレピーター(電波を中継・増幅する機器)などによる臨時の電波対策を行っていましたが、入居者の増加だけでなく今後の新しいまちづくりも見据えて、新たな基地局を建設する必要性が生じました。
基地局を新設する場合、通常は計画から完成まで1年以上かかります。最も難航するのは場所の確保で、用地としての条件を達成したうえで土地や建造物の所有者の同意が必要となります。しかし今回は、自治体所有である仮設住宅建設地の一画を基地局新設場所として調整を行ったことにより、用地決定をスムーズに進めることができました。また、工期も短縮するため、通常は段階的に進めていく工事を並行して実施できるよう、パートナー会社と連携して工程と体制をアレンジしました。その結果、約3か月で新しい基地局が完成。大幅な工期短縮の背景には、「一日でも早く被災者の生活を再建したい」という関係者全員の思いがありました。

2025年1月時点で、通信環境改善の対策が必要なエリア27か所のうち24か所で基地局の建設が完了、輪島市・珠洲市で現在対応中の3か所も2025年3月中に完了する見通しです。

基地局の敷設工事の様子

Starlinkの有効性を実地で証明

早期のエリア対策には、衛星通信「Starlink」も大いに活躍しました。Starlinkは、地球を周回する数千機の低軌道衛星を利用した衛星通信の一種で、従来の静止衛星を使ったサービスと比べて高速・低遅延な通信を実現可能です。
通常、基地局の建設には離れたロケーションの通信設備と光ケーブルなどの伝送路で物理的につなぐ必要があります。ところが、地震の影響でケーブルが寸断されるなど、光回線の敷設が長期化してしまうエリアがありました。これでは、用地確保がスムーズにできても通信サービスを提供することができません。このような場所で、光回線の代替としてStarlinkを導入していきました。
Starlinkは衛星を捕捉できる位置にアンテナを設置するだけでよく、大規模な工事が必要ないというメリットもあります。光回線による建設を予定していた基地局が9月の豪雨による影響を受けた際にも、即時にStarlinkに切り替えることで柔軟に対応することができました。

Starlinkを取付けた仮設の基地局。ケーブルの復旧後は光回線に切り替える

Starlinkは新しい技術のため有事における運用の前例がなく、ドコモにとっても手探りでしたが、被災者の1日でも早い生活再建のために導入に踏み切ったことで、スピード感を持って通信サービスを提供することができました。この経験をこれからの災害対策にも活かしていきます。

地域に寄り添い、復興を支え続ける

仮設住宅にお住まいのお客さまからは、快適な通信が可能になったことで安心や感謝のお声をいただくこともあり、通信の持つ社会的な責務を改めて実感しています。被災エリアの仮設住宅や損傷基地局に対する通信対策は北陸支社の通信改善取組み宣言※2にも掲げている最重要項目であり、まずはこれを全うしてまいります。
一方で、能登半島の復興活動は2025年3月以降も続きます。今回建設した基地局についても、一時的な使用とするか恒久的な設備に更新するかはそれぞれの仮設住宅の今後次第であり、見通しは未だ立っていない状況です。しかし、どうあっても被災地に寄り添うという使命は揺るぎません。引き続き、通信の面から能登半島の復旧・復興を支え続けていきます。

  1. 通信改善取組み宣言についてはこちらをご確認ください。
  • 株式会社ドコモCS関西 ネットワーク建設事業部
    ネットワーク建設推進部 ネットワーク企画
    ネットワーク管理担当主査

    中谷 淳機

  • 株式会社NTTドコモ 関西支社
    ネットワーク部
    ネットワーク計画 移動無線計画担当

    西村 亮祐

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