渋谷・原宿エリアの通信品質改善に向けた取組み

渋谷では通勤ピーク時の通信速度低下と接続不安定という課題、原宿では明治神宮内の5Gエリア強化を図る必要がありました。これらの課題を解決するため、5G新技術「マルチユーザMassive MIMO」を導入し、一連の対策を2024年7月に完了しました。
通勤ピーク時間帯に通信環境が悪化
渋谷駅を中心としたエリアでは、駅構内や駅周辺に人が集中する通勤ピーク時間帯になると、局地的な通信速度の低下や、接続が不安定になる課題がありました。その背景にあるのが、再開発による街の環境変化、および動画視聴やリモート会議などの急速な普及により、データ通信量が大幅に増加したことです。SNSなどにも「つながらない」という不満の声が寄せられていたことから、早急に対策を実施しました。
5G新技術「マルチユーザMassive MIMO」を導入
通信品質の改善に向けて導入したのが、新しい5G技術「マルチユーザMassive MIMO」です。マルチユーザMassive MIMOは、従来の基地局アンテナよりも広いエリアをカバーでき、かつ一度に送受信できるデータ量を飛躍的に増加させることが可能な技術です。さらに、ユーザーごとに電波を個別に割り当てることで、混雑時にも安定した接続を提供できるという利点があります。

導入に際しては、渋谷駅ホームや駅周辺を綿密に測定し、通信速度が著しく低下するポイントを特定。現地調査をもとに改善計画を立案し、2024年7月中旬に導入を完了しました。


再開発による構造変化に合わせて、快適な通信環境を維持・向上
運用開始後も、継続的に現地調査を行いながらアンテナの向きや角度を調整し、通信環境の最適化に努めています。現在は、通勤ピーク時間帯に通信が不安定だったポイントを含め、5Gの接続率はほぼ100%、通信速度は対策前後で下りが約6倍、上りが約7倍に向上し、ストレスなく動画を視聴できる通信速度を確保しています。
ただし、渋谷駅周辺は大規模な再開発工事が行われており、通信環境への影響も予想されます。駅構内および駅周辺の構造変化に対応しながら、引き続き、快適な通信環境の維持・向上に取組んでいきます。

明治神宮参道での5Gエリア強化に向けた取組み
原宿エリアでは、渋谷とは異なる課題がありました。原宿駅周辺は十分な通信品質を提供できていましたが、明治神宮の敷地内は5Gの電波は到達しているものの、本殿に向かう参道の途中で4G回線に切り替わってしまうことがあり、安定的な5G接続が課題でした。これは、明治神宮内に5G基地局を設置することが困難で、周辺の基地局でカバーする必要があること、また、敷地内の森林が電波を遮断することが原因です。
この課題を解消するため、渋谷と同様にマルチユーザMassive MIMOを導入し、5G基地局からの電波到達範囲を広げる対策を実施。2024年7月下旬に対策が完了しました。これにより、明治神宮参道の大部分で4G回線に切り替わることなく、安定的に5G回線をご利用いただけるようになりました。今後、初詣の三が日など多くの参拝客が訪れる際においても安定した通信を提供できるよう、アンテナの増強や調整を行い、快適な通信環境を整えていく予定です。
渋谷と原宿における通信品質改善の取組みは、通常1年以上かけて行う新技術の導入を、約8か月で完了しました。今後、東京都内の主要駅や観光地においても同様の取組みを、スピード感をもって進めていく計画です。また、より快適で安定した通信環境を実現するため、5G SA※1エリア拡大やネットワークスライシング※2などの技術開発も進めています。
特に首都圏では、再開発や新たな商業施設の誕生により、街並みや人の流れが変わることで、通信環境も常に変化し続けています。ドコモは、こうした街の変化を敏感に捉え、ユーザーのみなさまに安定した通信環境を提供し続けることをめざしています。
- 5G専用のコアネットワーク設備である5GC(5G-Core)と、5G基地局を組み合わせて通信する方式です。「5G SA」の場合、4G接続をせずにはじめから5G接続となるため、5G通信開始までの時間が短くなります。
- 各サービスで要求される通信品質にあわせて、単一のネットワークを仮想的に分割する技術です。5G通信のさらなる効率化が期待されます。

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株式会社NTTドコモ
首都圏支社・ネットワーク部田中 陽介
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株式会社NTTドコモ
首都圏支社・ネットワーク部萩原 光義
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株式会社ドコモCS
首都圏本部・エリア品質部佐久間 朋之
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株式会社ドコモCS
首都圏本部・エリア品質部鈴木 茉莉