ドコモR&D 共創ストーリー
地域の価値を若者の力で創出!
学生が主体となるR&D社会課題解決プログラムの舞台裏
NTTドコモは、地域の大学や自治体と連携し、学生が地域住民の一人として社会課題の解決に挑む「R&D社会課題解決プログラム」を推進しています。技術の提供に留まらない、ドコモがめざす「共創」の形とはどのようなものか。プログラムを牽引するクロステック開発部の春田和泉氏にインタビューしました。
はじめに
「R&D社会課題解決プログラム」とはどのような取組みなのでしょうか?また、今回のプログラムでNTTドコモはどんな役割を担っていますか?
地域の大学に通う学生が主体となり、自治体と連携して社会課題を解決する実践型教育のプログラムです。自治体が「フィールド(課題)を提供」し、大学・学生が「地域住民の視点で解決策を検討」します。NTTドコモは、独自に開発したフレームワークと先進技術を提供し、学生たちのアイデア創出と社会実装をサポートする「伴走者」の役割を担っています。これら3者が共創することで、地域課題を多角的な視点から解決し、新たな価値を創出することをめざしています。
共創の始まり
この共創が生まれた背景や、取り組まれることになったきっかけを教えてください。
日本各地で進む人口減少と大都市圏への集中という課題が背景にあります。こうした状況のなか、地域を活性化するには、若い世代が地元で収益を生む事業を作るノウハウを学び、環境を整えることが不可欠だと考えました。そこで、2022年の神戸市との事業連携協定の一環として、学生が住民の一人として地域の課題をテーマに課題解決を検討してもらうプログラムを開始しました。
プログラムでは、学生がまず現場を歩いて住民の困りごとを抽出します。ドコモはそれに対し、アイデアを引き出すためのワークショップ運営や、技術的な裏付けを行う役割を担います。単なる技術提供ではなく、「自分たちの地域を自分たちの手で良くしたい」という学生の当事者意識を育むことをビジョンとして掲げています。
取組みの過程
プログラムのなかで一番大変だったことや、工夫した点はどこですか?
過去の反省として、研究者の思い込みだけで技術を持ち込んでも、一過性の実験で終わり地域に根付かないという失敗経験がありました。そのため、以下の工夫を凝らしています。
- 「自分ごと」化の促進:学生が現場の人々に直接インタビューできるようフィールドワークを設計し、課題を深く理解する環境を整備。
- AIによる議論の活性化:ドコモが独自に開発する「AIファシリテーションシステム」を学生のグループディスカッションのなかに導入し、議論を活性化。
- 効率的な思考フレームの提供:グループ間のメンバーを入れ替えながら議論を繰り返す「World Cafe」方式を取り入れることで、アイデアの解像度を有機的に高める仕組みを導入。
- 言語化のトレーニング:検討したビジネスモデルを学生が自分の言葉で論理的に伝えられるようにするための言語化トレーニングを実施。
- 技術アセットの提供:学生のアイデアを拡張する道具として、VRやAI翻訳、ドローン、モバイル空間統計®といったドコモのアセットを提供。
琉球大学でのプログラムの様子
実績と成果
この共創で生まれた価値や、社会へのインパクトを教えてください。
本プログラムは、神戸市内の大学にとどまらず、琉球大学(沖縄県)や岡山大学(岡山県)など他地域の大学、さらには社会人向けへと拡大しています。特に2023年度より、琉球大学では「基地返還後の跡地活用案の検討、および新市街と旧市街の融合」をテーマに実施。最終提案について学生が行政・地域振興関係者と直接意見交換を行う機会を創出した結果、本取組みが机上検討に終わらず、市役所の関連報告書への採用や地域の商店街の子育て施策の学生自主企画につながりました。こうした活動は、学生の成長のみならず、地域の活性化や産官学連携による持続可能な基盤構築にも寄与しています。
未来への展望
今後の目標や、このプログラムをどう発展させていきたいとお考えでしょうか?
地域課題に正解はありません。だからこそ、より多くの住民や学生が自ら価値を創出できる「枠組み」を広げていくことが、私たちの役割です。今後は、これまでプログラムのなかで議論を支えてきた、「AIファシリテーションシステム」の商用化に向けて本格的な検討を進めます。将来的にこのツールが全国に広がることで、ドコモが直接主催する場以外でも、地域課題解決の輪が自律的に広がっていく世界をめざしています。読者のみなさまとも、この取組みやツールを通じて新しい社会の形を共創していければと考えております。
AIファシリテーションシステムを商用化し、ともに地域課題の解決に挑戦していただける企業・団体の方はぜひご連絡ください!
関連リンク
- 掲載写真はすべて「日経クロステック Special」
より許諾を得て掲載しています。
