「2025年の崖」へあと3年、日本企業はDX化できたのか?

「2025年の崖」へあと3年、日本企業はDX化できたのか?

経済産業省が2020年・2021年に発表したレポートによると、日本企業のDXはほとんど進んでいません。背景には、企業とベンダーそれぞれが抱えるジレンマがあるようです。

目次

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1.8割の中小企業が「IT化を推進した」

ビジネスパーソンであれば、“2025年の崖”という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。

2025年の崖とは、2018年発表の「DXレポート」に登場した言葉で、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される、国際競争への遅れや国の経済の停滞などを指す言葉です。例えば、経営者がDXを望んでも、現場サイドの抵抗によりDXをうまく推進できない、といったケースに当てはまる言葉となります。同レポートでは、2025年の崖の課題を克服できなければ、「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告しています。

レポートの発表から3年が経過し、2025年まであと数年に迫った2021年の現在の日本社会は、2025年の崖の課題を克服できたのでしょうか? いくつかのデータや資料を読み解き、DXの現在地を探ってみましょう。

まず取り上げるのが、野村総合研究所が今年3月に発表した、中小企業を調査対象としたデジタル化に関するアンケート調査(※)です。同調査では、自社のデジタル化推進体制について、「全社的に推進している」が47.2%、「部署単位で推進している」が36.7%となりました。一方で「デジタル化を推進していない」と回答したのは16.2%に留まりました。つまり、8割以上もの中小企業が、デジタル化を推進していることになります。

(※) 経済産業省/株式会社野村総合研究所「令和2年度中小企業のデジタル化に関する調査に係る委託事業報告書」

デジタル化が進んだ背景には、コロナ以前から徐々に進み始めていた働き方改革や、コロナ禍によってテレワークを取り入れた企業が増えたことが考えられます。

2.日本でDXを進めている企業は5%しかない!?

しかし、経済産業省が2020年12月に公開した「DXレポート2」、および2021年8月に公開した「DXレポート2.1」では、企業のIT化はさほど進んでいないという調査結果も出ています。

まず「DXレポート2」では、調査対象となった企業のうち95%の企業が、DXにまったく取り組めていない(=DX未着手企業)か、部分的な実施に留まっている(=DX途上企業)と指摘されています。これらDX未着手企業、DX途上企業は、全社的な危機感の共有や意識改革を行える段階にも至っていないため、DXを推進する企業との間に大きな差が生まれているといいます。

日本企業のDXが進んでいない理由は何なのでしょうか。「DXレポート2.1」ではその理由として、ユーザー企業とベンダー企業の相互依存関係がネックになっていると指摘しています。

同資料では、現在の産業界の業界構造について、コストを削減したいユーザー企業と、低リスクでビジネスを受けたいベンダー企業との間で、一見すると「Win-Win」ともいえるような関係になっていると分析。しかしこの関係性が、ユーザー企業はベンダー任せでIT技術が育たず、一方のベンダー企業は“多重下請け構造”から抜け出せないため、どちらもデジタル競争を勝ち抜けない関係性に陥ってしまっているといいます。

加えて、企業は多くのジレンマを抱えています。資料によれば、目先の業績ばかりを見て、変革に対する危機感が持てず、本当に危機的な状態になった場合には、すでに変革に必要な投資体力を失ってしまっているという「危機感のジレンマ」や、従業員にデジタル技術に対する人材育成を行おうとしても、習得時には古い技術になってしまっている「人材育成のジレンマ」が挙げられています。一方のベンダー企業側も、ユーザー企業のデジタル化が完了してしまうと、自分たちの存在意義がなくなってしまう「ビジネスのジレンマ」を抱えています。

3.変わらなければ未来のビジネスに対応できない

こうしたDXの推進を阻むジレンマを打破するために、企業はどうすれば良いのでしょうか?

DXレポート2では、企業が目指すべき今後の方向性として、以下の2つを挙げています。1つは「変化に迅速に適応し続けること」、もう1つが、「ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革すること」です。つまり、“変わっていくこと”が求められているということになります。

IT技術の発達により、社会は日々変わっていきますが、DXを推進した企業であれば、そうした変化にも迅速に対応できるようになります。DX化を諦めることは、これからの時代にビジネスを続けていくことを諦めることにもつながりかねません。

経済産業省が提示した2つの資料からは、日本企業のDX化の現状は芳しいとはとてもいえない状況ですが、だからこそDXを早く推進することで、いち早く先進企業の仲間に入り、DX化に遅れている企業に差をつけることが可能になります。

特に、経営者の意向を反映しやすい中小・中堅企業は、DXを推進しやすい環境にあるといえるかもしれません。フットワークの軽い中小企業こそ、DXを進めてみてはいかがでしょうか。

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