競争力低下を招くデジタル・ディバイド。その対策とは

競争力低下を招くデジタル・ディバイド。その対策とは

デジタル・ディバイドとは、ITを使いこなせる人と使いこなせない人との間に生まれる情報格差のことです。そこから生まれる問題や、改善するための取り組みを紹介します。

目次

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1.ビジネスのデジタル化が加速

新型コロナウイルス感染症の流行は企業に大きな変化をもたらしました。オフィス内を密にしないように、出勤者の削減や時差出勤の実施、出張や得意先訪問の自粛など、感染防止を意識した新しい働き方へ移行せざるをえませんでした。その結果、リモートワークが推奨され、web会議や電子決済、電子契約、ビジネスチャット、クラウドサービスといった、デジタルツールの活用が当たり前になりました。つまり、コロナ禍によって、企業のデジタル化が加速したのです。

その一方で、デジタル・ディバイドも広がっているといわれています。デジタル・ディバイドとは、「インターネットやパソコンなどの情報通信技術(ICT)を利用できる人とできない人との間に生まれる情報格差」のことです。たとえば、都市部に比べると地方ではインターネット環境が整っていないことなどがあります。

あるいは、年齢や職種などによっては、ICTを使いこなすのに必要な知識やスキルを身につけられないことも。そうしたさまざまな理由によって、デジタルを活用できない人は、生活の中で必要な情報にアクセスしたり、コミュニケーションを取ったりすることが難しく、不利益を受ける場合があります。

2.企業間でも広がるデジタル・ディバイド

社会環境や年齢などさまざまな理由で、デジタル・ディバイドが生じていますが、企業の場合も同じことが考えられます。社内で急速にIT化が進んでも、社員に対する教育が追い付いておらず、デジタルツールを有効に活用できていないというケースもあるでしょう。ビジネスの場においてデジタルの活用が広まった今、上手く使いこなして、業務改善や生産性向上に成功している企業と、遅れをとっている企業では大きな差が生じます。

一般に、大企業は豊富な資金や人材によって、ITのインフラ整備やデジタルツールの導入を進め、業務効率や生産性を高めているところが多い一方、資金力や人的リソースが限られている中小企業では、まだまだデジタル化が進んでいない傾向があるといわれています。

3.中小企業のデジタル化は、コストや人材不足が課題

なぜ中小企業のデジタル化は進まないのでしょうか。中小企業庁の「中小企業白書」(※)によると、中小企業がITの導入・利用を進めようとする際の課題としてまず挙げられるのが、コスト面です。

(※) 中小企業庁「中小企業白書」

中小企業の場合は限られた予算でやりくりをしているため、ITインフラの整備や新しいデジタルツールの導入などに十分なコストを割けないケースが少なくありません。そうした環境では、ITに触れる機会は必然的に少なくなるでしょう。次に、デジタル化にコストをかけたとしても、それによって日頃の業務や企業経営にどのような変化があるのか、「効果がわからない、評価できない」と考える企業が多いことです。

すぐに売り上げがアップするなどの成果を期待すると、新しい取り組みにはなかなか手を出せなくなります。加えて、ITスキルを持った従業員の不足が挙げられます。新しいシステムやツールを導入しても、それを適切に扱える人材がいなければ、上手く活用することは難しいでしょう。

2019年に経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」によると、2020年時点のIT人材の需給ギャップ(不足数)は国内で約30万人と試算されており、デジタル化に対応できる人材をなかなか確保することができず、二の足を踏んでいる企業も多いのかもしれません。

(※) 経済産業省「IT人材需給に関する調査」

4.デジタル・ディバイドは、競争力の低下を招く

中小企業においてデジタル・ディバイドが生じやすい原因について紹介しましたが、このままの状況が続けば、さまざまな弊害が起きるでしょう。たとえば、デジタル化が進んだ企業では、マーケティングオートメーションツールや顧客管理システムなどを活用することで、効率的な営業を行っています。

その結果、顧客ニーズが把握しやすく、利益を生み出すチャンスをつくることも可能になります。また、経理業務や事務作業なども、デジタル化することによって効率がアップします。このように、ITによって業務の効率化や生産性の向上を実現している企業と、そうでない企業との競争力の差は大きく広がっていく可能性があります。

さらに、ITを活用したリモートワークなどの柔軟な働き方に対応できないことや、新たな技術の導入に消極的な姿勢は、人材の採用においても、マイナスになることがあります。

5.デジタル・ディバイド解消への取り組みは、一歩ずつ着実に

企業の競争力の低下にもつながる、デジタル・ディバイド。中小企業はどのようにして解消すればいいのでしょうか。まず、デジタルに対する意識を変えることが重要になります。まず、「とにかくITを使う」ということが目的になって、目新しいIT機器やサービスを取り入れようとする企業がありますが、IT活用はあくまで手段であるということを意識しましょう。ITを使って情報収集をしたいのか、販売の効率化をしたいのかなど、目的をはっきりさせてそれに応じたツールを選ぶことが成功のコツです。

次に、「はじめからすべてに取り組むのは難しい」ということを理解しておくこと。多大なコストをかけて一気にデジタル化する必要はなく、無料のツールや低コストのサービスなども活用しながら、一歩ずつ着実に進めていきましょう。加えて、社内の人材が不足しているのであれば、外部のIT専門家にサポートを依頼するのもいいでしょう。プロの力を借りることでより適切な課題抽出や効果的なアプローチが期待できることもあります。

まるごとビジネスサポート

コスト面では中小企業デジタル化応援隊事業やIT導入補助金といった国からの支援、金融機関からの融資も大きな支えになるでしょう。

このように、ITツールの導入や社内の意識改革を積極的に行えば、デジタルに接する機会が増え、デジタル・ディバイスも徐々に解消されていくでしょう。さらに、デジタルのメリットや活用方法もより理解できるようになるので、IT投資や設備投資などを積極的に行えるようになり、生産性の向上にもつながります。

中小企業のデジタル化にはさまざまなハードルが存在しますが、デジタル・ディバイドを解消することでビジネスの効率性や生産性は間違いなく向上します。まずは、デジタル化の目的を明確にして、低コストで簡単にできることから段階的に始めていくのはいかがでしょうか。

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