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コロナ禍で目立った中小企業の倒産。事業継続のカギはBCP対策

コロナ禍で目立った中小企業の倒産。事業継続のカギはBCP対策

感染症はもちろん、地震や台風といった自然災害が多い日本では、万一に備えた事業継続のための対策が不可欠です。そのために必要なのがBCP(事業継続計画)の策定です。BCPとは、緊急事態に備えて、事業継続のための方法などを取り決めておくこと。本記事では、中小企業が取り組むべきBCP対策について紹介します。

目次

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1.中小企業の多くはBCP対策ができていない

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの企業が事業継続を断念しました。その多くが中小企業や個人事業主で、特に飲食業や宿泊業などの倒産が目立っており、事業規模が小さい企業は、突発的なリスクに弱い面が伺えます。

徐々に感染症の猛威は収束しつつありますが、地震や台風などの自然災害も多い日本では、こうした緊急事態はいつ発生するかわかりません。企業が自然災害や大きな事件・事故といった緊急事態に遭遇した時に、事業資産の損害を最小限に留めつつ、事業の継続や早期復旧を目指すためには、日頃からそうした事態を想定して準備しておくことや、緊急時の対応策をあらかじめ取り決めておくことが必要です。このような計画のことを、BCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)といいます。

大企業の多くでは、さまざまなリスクに備えてBCP対策が進められています。一方、リスクに弱いと言われている中小企業はどうでしょうか。実は、企業の規模が小さくなるほど、BCPの策定率が低いという調査結果が出ています。

従業員別BCP策定状況

(※)独立行政法人経済産業研究所「『事業継続計画(BCP)に関する企業意識調査』の結果と考察」を基に編集部で作成

独立行政法人経済産業研究所が2019年4月に発表した調査(※)によると、従業員が1001人以上の企業のうち、すでにBCPを策定しているのは69.5%と約7割におよんでいます。301~1000人の企業になると、43.7%に下がりますが、「策定中」の企業が9.2%なので、合わせると半数を超えており、「策定の予定はない」、「BCPを知らない」という割合は約3割に留まっています。

一方で、従業員21~50人の企業でBCPを策定しているのは11.3%、20人以下の企業ではわずか2%という結果でした。さらに「策定の予定がない」「BCPを知らない」という企業が半数以上で、企業の規模が小さいほどリスクマネジメントへの取り組みが行われていないという結果が出ています。しかし、コロナ禍で多くの中小企業が倒産したことからもわかる通り、事業規模の小さい企業こそ、BCPを策定して、緊急事態に備えておくことは重要です。

(※)独立行政法人経済産業研究所「事業継続計画(BCP)に関する企業意識調査」の結果と考察

2.BCP策定の5つのステップ

自然災害や感染症の流行など、不測の事態においても事業を継続していくためには、BCPの策定が重要です。それでは、具体的にはどのような手順で策定すればよいのでしょうか。中小企業庁がまとめた「中小企業BCP策定運用指針第2版」(※)からひも解いてみましょう。

(※)中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針第2版」

同指針によると、BCPの策定には次の5つのステップを踏むのが基本となります。

BCP策定の5つのステップ

(※)中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針第2版」を基に編集部で作成

1.基本方針の立案
まずは「なぜ自社がBCPを策定するのか」「BCPを策定・運用することにどのような意味合いがあるのか」を明確にします。人命を守る、経営を維持する、従業員の雇用を守るといった事柄は、どの企業にも共通する普遍的な目標となるでしょう。加えて、自社の事業の特殊性から生じる意義も確認しておきます。たとえば、医薬品の製造業であれば、緊急事態においてもその供給責任を確実に果たす、ということも重要です。

2.重要商品の検討
企業はさまざまな商品やサービスを持っていますが、緊急時には限られた人員や資材で事業を継続しなければならないので、優先的に製造・販売するものをあらかじめ決めておく必要があります。

そのため、自社の商品やサービスの中で最も優先度の高い商品・サービスを具体的に決めておきましょう。ストップしてしまうと会社全体の売上に大きな影響があるものや、顧客への影響が大きいものなどを選ぶことがポイントです。

3.被害状況の確認
緊急事態といっても、感染症の流行と大地震では、受けるダメージが異なります。そこで、感染症、地震、水害などのケースごとに、どのような被害が発生し、事業にどのような影響が出るのか、イメージを掴んでおくことも大切です。

下の図は、大規模地震(震度5弱以上)が発生した場合を想定し、インフラへの影響と自社への影響をまとめたものです。たとえば、道路や鉄道などが利用できなくなれば、従業員は出社できなくなり、商品や材料を運ぶことも難しくなるでしょう。あるいは設備の破損や社屋の倒壊、重要な書類やデータの消失なども考えられます。同じように、さまざまな事態を想定して、起こり得る被害、リスクを確認しておきましょう。

大規模地震で想定される影響

(※)中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針第2版」を基に編集部で作成

4.事前対策の実施
緊急事態に直面した時に、どのようにして重要商品・サービスを提供していくかを考えます。重要商品を提供し続けるためには従業員や機械設備、情報や資金などの経営資源が必要となります。緊急時にそれらをどのように確保するか、事前にどのような備えができるか、具体的に検討しておきましょう。

事業によっては、被害が甚大で現地の復旧が不可能な場合に、通常とは異なる工場で商品を生産したり、商品・部品を調達したりといった代替方法を取ることも想定しておくことが必要です。

事前対策の実施

(※)中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針第2版」を基に編集部で作成

5.緊急時の体制の整備
緊急時の対応における責任者を確認しておきましょう。緊急時こそ指揮系統は明確にする必要があるため、重要な意思決定や指揮命令を行う統括責任者を選定しておきます。さらに、責任者の不在や被災も想定し、代理責任者も決めておくといいでしょう。

3.BCPは定着、運用、見直しが重要

ここまで、BCP策定の基本的な手順を紹介しましたが、策定したBCPをより有効に活用するためには、その定着、運用、見直しが重要になります。BCPを策定しても、従業員がその存在を知らない、適切な運用ができないのでは意味がありません。

従業員に BCP の内容や重要性を理解してもらうため、日頃から社内で周知することが重要です。さらに、BCPの内容が会社の現状に見合っているか、適宜見直しを行いましょう。

地震や水害といった自然災害はいつ発生するかわかりません。そうしたなかでも、さまざまなリスクを想定して、事前に対策をしておくことで、事業の早期復旧・継続を目指すことができます。特に事業規模の小さい会社は、緊急事態が発生してからでは手遅れになってしまう場合もあるため、早めにBCP策定に取り組みましょう。

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