市場規模2兆円。
中小企業のシェアリングエコノミー活用法

市場規模2兆円。<br>中小企業のシェアリングエコノミー活用法

物・サービス・場所などを多くの人と共有する「シェアリングエコノミー」が、日本でも浸透しつつあります。中小企業においてはどのように活用できるのでしょうか。

目次

1.個人や企業が持つ資産を活用した、新しい経済モデル

企業や個人は、物や場所、技能など、さまざまな資産を持っています。これらの資産を双方で売買・貸し借りを行っていくことで、お互いにメリットが生まれることがあります。たとえば、自宅を宿泊場所として貸し出す民泊サービスはその代表例です。

また、諸外国ではタクシー会社などに所属していない個人のドライバーが、自家用車を使ってユーザーを目的地まで運ぶ「ライドシェア」なども普及しています。ほかにも、自社ビルの空き部屋を個人や別の企業に貸し出すサービス、家事・育児の代行といったスキルシェアのサービスなどその種類は多種多様です。

これらのサービスの多くは専用のアプリやWebサイトなどを使って手続きをするので、手軽でスムーズに経済活動を行うことができます。こうした経済モデルをシェアリングエコノミーといいます。

このビジネスのポイントとなるのが遊休資産です。遊休資産とは、企業が事業目的で取得した資産のうち、何らかの理由で稼働していない資産を指します。個人が所有する家や車も、使っていない時間・部分は遊休資産と考えられます。

シェアリングエコノミーは、こうした遊休資産を有効に活用することで、新たな収益を生み出すことができ、利用者側にとっても、自らが所有していない資産を補完できるというメリットがあります。

個人や企業が持つ資産を活用した新しい経済モデル

2.2020年の市場規模は約2兆円。広がるシェアリングエコノミー

資産を持つ側にも、利用する側にもメリットがあるシェアリングエコノミー。こうしたビジネスはどのように発展してきたのでしょうか。シェアリングエコノミーは、まずシリコンバレーを起点に広がりを見せました。日本でも有名な民泊サービスのAirbnbや、配車サービスのUberなどは、今や世界の多くの国・地域で当たり前に利用されるサービスとなりました。

日本においても、ここ数年急速な拡大を見せています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査(※)によると、2020年度の市場規模は、過去最高の2兆円超えとなっています。さらに、2030年度には14兆円を超える可能性もあると言われており、今後ますます拡大していくことが予想されています。

(※) 一般社団法人シェアリングエコノミー協会「日本のシェアリングサービスに関する市場調査」

さらに、新型コロナウイルス感染症の流行で、外出自粛をする中で、料理の宅配サービスや買い物代行などを利用する人も増えています。このような社会環境が変化したことも、シェアリングエコノミーの発展につながると見通されています。

3.中小企業のシェアリングエコノミー活用法

日本でも今後ますます拡大していくことが予想されているシェアリングエコノミーについて、中小企業においても関心が高まっています。商工組合中央金庫は2019年、シェアリングエコノミーに関する調査結果(※)を発表しました。中小企業に対し、シェアリングエコノミーの活用や認知状況について尋ねたところ、シェアリングエコノミーを「活用している」「活用予定あり」と回答した企業は3.9%でした。さらに、19.1%の企業は「関心はあるが、活用予定はない」と回答しており、全体の2割強の企業がシェアリングエコノミーに関心を持っていることがわかります。

(※) 商工組合中央金庫「中小企業の経営課題に関する実態調査」

企業によるシェアリングエコノミービジネスの一例として挙げられるのが、駐車場のシェアサービスです。自社の空きスペースを駐車場として提供することで、収入を得ることができます。一方、出張や商品配送時などに車を利用するビジネスマンにとっても、そうした駐車スペースを便利に活用することができます。

自社にないスキルをシェアリングエコノミーによって調達している企業もあります。たとえば、ダイレクトメールなどを作成する際に、スキルシェアサービスを通じて、デザイナーやカメラマンに依頼することが可能です。

あるいは、自社の従業員の教育のためにスキルシェアを活用することも考えられます。自社の業務に関連した知識やビジネススキルを持った人を講師として迎え、研修を行うというケースです。さらには、子どもを持つ従業員のための福利厚生の一環として、育児シェアサービスを用意するといった活用方法もあります。

いずれも、シェアリングエコノミーをうまく活用することで、企業間取引で専門業者などに発注する場合よりも、安くスピード感を持って進められる可能性があります。

ほかにも、BtoBにおいてシェアリングエコノミーを活用している企業もあります(※)。愛知県の株式会社シェアリングファクトリーでは、普段あまり稼働していない設備を持っている企業と、その設備を利用したいと考える企業のマッチングを行っています。

(※) 中小企業庁「ミラサポplus」

製造業では、設備が使われないまま眠っている企業がある一方、使いたい設備を自前で購入することが難しい企業も存在します。両社を結びつけることで、双方にとってメリットが生まれます。設備を持っている企業はそれを貸し出すことによって収入を得ることができ、借りる側の企業にとっては多額の設備投資をすることなく新しい事業を始めることが可能になります。このようにシェアリングエコノミーは、企業の課題解決にもつながるのです。

4.サービスの質やトラブルが起きた時の対応には注意を

企業においてもメリットが多いシェアリングエコノミーですが、リスクや問題点もあります。特に注意しなければならないのは、トラブルが発生した時の責任の所在です。たとえば、借りた物を壊してしまった場合、その保障はどうするのか。特に個人間の取引の場合は、契約書を取り交わすなどの複雑な手続きがない分、ルールが曖昧になりがちです。

さらに、提供される物・サービスのクオリティに個人差が出る場合もあるでしょう。シェアリングエコノミーは、新しいビジネスモデルなので、まだ法整備なども十分に追いついていない部分があります。ビジネスに活用する際には、こうしたリスクについても考慮しておく必要があります。

シェアリングエコノミーの利用には、まだリスクや課題もあります。しかし、最近ではシェアサービスを提供するプラットフォーム側でも、ユーザーの相互評価制度や金銭のやり取りの仲介システムなどを取り入れることによって、安全性を確保する取り組みを進めています。

メリット、デメリットをしっかりと理解した上で、シェアリングエコノミーをうまく活用できれば、コストの削減や生産性の向上が望めます。自社の課題解決やサービス向上のために、一度視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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