山形市さま

楽しく続ける仕組み満載のアプリ導入で、若年層の健康意識も向上

健康マイレージ

導入前・導入後の比較

導入前の課題 導入後の成果
1 車通勤が多く全国的に見ても平均歩数が低い山形市。そのせいか働き世代のBMI値の高さが健康課題としてあった。 1 楽しみながらウォーキングできる点を評価し、ドコモのウォーキングをベースにしたアプリによる健康ポイント事業をスタート。楽しんで参加している声を多くいただき、歩く習慣づけに貢献。
2 健康課題解決用のイベントへの参加者は高齢者が多く働き世代の参加が少なかった。 2 アプリによる健康ポイント事業は若い世代に訴求しやすく、結果として30~50代の参加者が多いという好スタートに。
3 健康ポイント事業を健康改善だけにとどまらず、さまざまな活用を模索したかった。 3 健康づくりの意識向上につながり、“生き甲斐ができた”といううれしい声も。さらにアプリから市民のさまざまな健康データが得られ次の対策が打てるのも魅力。

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1. アプリによる健康ポイント事業を導入することで、若年層による参加の期待

東北主要都市内でも人口一人あたりの診療所数が最も多く、市内にある山形大学では東北・北海道圏で初の次世代型医療用重粒子線照射装置施設の整備が進められているなど、医療環境に恵まれる山形市。

「健康医療先進都市」を掲げ、さまざまな健康に関する調査を行うなかで市民が健康寿命を損なう原因を分析したところ、認知症・運動器疾患(骨折・転倒、関節疾患)・脳血管疾患が全体の80%を占めていたという実態がありました。

車社会であることから全国的に見ても平均歩数が低く、青年期・壮年期のBMIが高い傾向にあること、また、子どものいる家でたばこを吸う人が想定していたより多い、がんの検診率が伸び悩んでいるという課題も見られました。

健康増進課 課長 佐藤久枝さん

課長の佐藤久枝さんは、こうした課題に対して「山形市の地域柄、社会人になると多くの人が車で通勤し、意識しなければ生活のなかで歩く機会がほぼないのが多くの市民の現状ということから、特に男性の働き世代のBMI値が高いというのは納得の結果でした」とコメントします。

健康増進課 課長補佐 柴崎麻実さん

また、健康課題解決のためにイベントなどを山形市でも開催してきましたが、「集まるのは高齢者層で、なかなか働き世代の参加が少ないといった現状もありました」と柴崎さんは健康無関心層へのアプローチの難しさをずっと痛感していたと話します。

こうした市民の実態にもとづいた健康対策のキーワードに掲げられたのが「SUKSK(スクスク)生活」。食事(S)、運動(U)、休養(K)、社会(S)、禁煙(K)を重点テーマに置き、市民の健康のための取組みをはじめたのです。

山形市が今回健康ポイント事業をはじめるきっかけとなったのは、佐藤市長の後押しでした。

「健康改善を目的にするのではなく、ゲーム感覚を取り入れて、とにかく楽しんで続けられることを目的にしよう!健康づくりに取組む人を増やそう!」というのが市長の方針。

健康増進課 管理担当総括主幹(兼)課長補佐 市村昭一さん

最初は『健康ポイントって何?』というところからスタートしたという市村さんも「健康ポイント事業に対する市長の方針が明確だったので、みんなが一致団結してポイント事業に取組みやすかったですね。ゲーム感覚で健康づくりに取組めるプログラムを調べ、すでに取組みをはじめている自治体にもヒアリングを進めました」と振り返ります。

当初は、インセンティブというやり方に慣れていないということもあり、実際のところ、一時的な事業になりはしないかという不安もあったそうです。

「すでに実施している自治体にも、そのあたりを入念にうかがいましたが、ポイント付与によって参加しているという参画意識も出てきたり、健康のための意識が変わるきっかけにもなったりするので、ポイント事業は効果的という声をあちらこちらで聞き、自信をもって進めることができました」(佐藤久枝さん)

ほかの自治体の事例を参考にしつつ、インターネットでも健康増進をサポートする事業者の検索をし、プログラムの選定を行ったそうです。

「最終的にはプロポーザルによってパートナー企業を選定したのですが、ここでも決定打となったのが、市長が打ち出していた“楽しく、気軽に取組める”という視点や“なるべく多くの人が参加できる仕組み”という点でした」(市村さん)

「歩数に応じてコインが獲得できたり、バッジやスタンプをコレクションしたりする仕掛けもあり、何より気軽に操作できるドコモのウォーキングをベースにしたアプリが一番楽しそうで長続きするのではと思いました。また、真面目過ぎず、ふざけ過ぎずというところが山形市民にも受け入れられそうだと直感しました」(柴崎さん)

アプリによる健康ポイント事業を導入することで、これまで参加を促すのが難しかった若年層による参加も期待が持てたといいます。

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2. 幅広い年齢層、さまざまな活動でポイントが取得できる仕組み

こうして、「SUKSK生活」に楽しく取組んでもらうための健康ポイント事業のスタートが決まった山形市。
具体的には、アプリを登録、または歩数計、ポイント手帳を申込み、スマホまたは歩数計でカウントされた歩数によってポイントがたまります(例:1日8000歩以上で100p、5000~5999歩で50pなど)。
歩数以外でも健康イベントやボランティア活動(1回500p)、市や職場などが実施する健診・検診受診(1受診500p)などの対象事業に参加することでもポイントの取得が可能に。

5000ポイントたまったら、抽選に参加でき、山形のお米や山形牛、商品券などの記念品が当たるという内容です。

山形市健康ポイント事業「SUKSK(スクスク)生活」ポスター

導入にあたり、頭を悩ませたのは、多くの方が参加できる仕組みづくりでした。アプリで参加できるプログラムにより若年層の参加に期待を寄せる一方、スマートフォンの操作に不慣れな市民にも気軽に参加してもらえるよう、アナログで参加できるプログラムへの配慮も忘れません。

「なるべく多くの人に参加してもらうためにさまざまな角度から思案した結果、システム的には複雑になってしまいました(苦笑)。アプリの開発、登録案内とともに、希望者には歩数計と記入式のポイント手帳を配布。そして、歩数や健診・検診受診によるポイントだけでなく、健康づくりイベントやボランティア活動の参加でもポイントが付与される仕組みにもこだわりました」(柴崎さん)

「手軽という点では、アプリからは、記念品への抽選も都度自分で応募するのではなく、5000ポイントたまったら自動的に抽選に参加でき、当選した際も登録された住所に自動で届くという仕掛けも参加のしやすさにつながったようです」(佐藤久枝さん)

また、参加者を増やすもう一つの工夫として力を入れたのは、一般の人だけでなく、市内にある企業にも参加を呼び掛けたこと。
市内50事業所ほどに声を掛け、今回23事業所がこの事業に参画していただきました。

健康増進課 管理担当総括主幹(兼)課長補佐 市村昭一さん(左)、健康増進課 主任 佐藤大地さん(右)

「はじめての試みだったので、企業の方の反応もうかがいたく、アポを取って自ら足を運びました。今回は参画されなかった企業の方にもお話しをうかがうことで、大企業ほど福利厚生で実施するには各支店で不公平感なく行うことが鍵であるといった課題もわかり、今後の進め方の参考にもなりました」(佐藤大地さん)

さらに、これまでも山形市が長年養成してきた市民の運動・食事習慣の改善を指導する「運動普及推進スタッフ」や「食生活改善推進スタッフ」のみなさんが市民への周知やオープニングイベントなどに協力してくれたことも、大きな力になったといいます。

多くの市民の健康づくりをサポートしたいという思いでさまざまな参加方法を構築しスタートした結果、その甲斐あって、幅広い年齢層からたくさんのうれしい声が届きました。

「歩数計で計測するのが今の生き甲斐になっているという90代の方がいらっしゃいました。これまでも自分の健康のために歩いていたけれども、90代で累計歩数が1位と表示され、すごく励みになり、とにかく楽しい!といってもらえました。また、70代後半の方がスマホを使いこなして健康づくりに取組み“幸せ~”との投稿もありました。苦労はしましたが、いろいろ検討してみてよかったと感じます」(柴崎さん)

市がまとめた結果によると、開始2か月ほどの参加者の内訳は、30~50代が多く、男女比についてはほぼ半々の比率ということがわかりました。若年層の参加を狙って手軽に楽しみながら参加できるスマホアプリを導入したり、市内の保育園を利用する保護者に事業のチラシを配布したりし、課題として挙げられていたことを一つずつていねいに解決するべく担当者のみなさんが動いていったことが功を奏したようです。

「これまで市で開催する健康づくり事業への参加が少なかった若年層にも反応があり、うれしく思いました。また、今まで年代別に1日の歩数データを取ったことがなかったのですが、集計してみると、60代が一番歩いていることもわかりました」(柴崎さん)

本事業では、楽しく歩いたり、イベントに参加したりという健康づくりとともに、アプリから市民のさまざまな健康データを得ることで次の対策が打てるのも魅力だと、佐藤久枝さんはいいます。
「外部評価という位置づけで、大学などの力を借りて、データの分析をし、その結果にもとづいた施策を全国に発信していこうと考えています」

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3.市民のムーブメントとして楽しみながら健康づくり意識の向上を図る

健康ポイント事業をスタートしてみると、市民のみなさんが楽しんで参加しているとの声とともに、「もっとこういう機能を付けてほしい」「健康先進医療都市として、もっと突き抜けたことを事業化してほしい」など、早速次への期待が寄せられています。

「いただいた声を受け、只今、健康増進課ではアクティブ率を上げるための第2弾も考案中です。設定したウォーキングコースを使ってポイントを獲得できるようにしたり、参加者の写真コンテストを開催したり、参加事業所や健康づくり対象事業を増やしたりなど…。
ただ、ポイント対象事業を多くし過ぎると歩かなくてもイベントやセミナー参加でポイントがたまることになるのが難しいところ。やはり、歩く習慣をつけてもらうことが、山形市民の健康課題解決策として大事になるので、そのベースは崩さないようバランスを上手くとっていきたいです」(柴崎さん)

そして、本事業は、市民の健康課題解決を主にした「SUKSK生活の推進」のなかの目玉事業。「SUKSK、私も参加しているよ!」と日頃の話題に上がるように育てていきたいとみんなで声を揃えます。

「ここまで予算を付けて健康づくりのための新事業を行うのははじめてでした。市民の方に楽しんでもらって還元できる仕組みがよいと考えています。楽しみながら健康づくり意識の向上をはかり、今後も市民のムーブメントとして盛り上がりを見せてくれたらうれしいです」(佐藤久枝さん)

最終的に市長から挙げられている最終的な目標は、人口の1割が参加すること。
「同様の健康ポイント事業を2014年に開始した横浜市では、昨年度参加者が人口の1割に達したとの報告を受けているので、そうした事例を参考に、今後5年くらいを目途に達成したいと考えています」(柴崎さん)

市村さんは「市民のみなさんの参加データの集積で、健康、行動パターンの経年変化を見られるということは、今後も本事業は健康増進課としては大きな収穫になります。そうした期待が寄せられながらも、何はともあれ、健康ポイント事業への参加によって、“生き甲斐ができた”、“夢を持てた”と感じた人がいるのが一番よかった」と本音を語ってくれました。

「健康改善だけが目的ではなく、楽しんでやれることから健康づくりをはじめよう!」という市長の強い思いと、健康増進課ご担当者が自らの足で動いて参加者を集め、市民が楽しんで健康になる姿を一緒に喜び事業に取組むチームワークのよさ。一人でも多くの人に参加してほしいという参加者の利便性を第一に追求した結果が、多くの市民に愛される健康ポイント事業の好スタートにつながったのでしょう。こうした山形市の取組みに、今後ますます期待と注目が集まりそうです。

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山形市さま

目的 健康経営
業種 公共機関
エリア 東北

※ 掲載内容は2022年7月以前の情報です。


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